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12.
前に観た話であったけれども、やはり面白い。
足元で悲鳴のようなものを上げる人間を、ハニワが何食わぬ顔をして踏み潰していくさまをぼくは笑っていた。
と、隣から視線を感じた。
見ると、大河くんがぼんやりとした目でかぼくのことを見ていた。
が、ぼくと目が合った瞬間、びっくりしたように目を大きくして、逸らしてしまった。
けれど、ぼくもびっくりするには充分なものだった。
なんでみてきたんだろう。
ぼくが隣にいたから? ぼくが声を出して笑っていたから?
訊きたい。
今日もまた何も反応してくれないかもしれないけど、ぼくは大河くんと仲良くなりたいから。
「ねぇねぇ、たいがくん。ぼくがとなりにいたからびっくりしたの?」
「⋯⋯⋯」
反応なし。
「じゃあ、ぼくがわらっていたからびっくりしたの?」
「⋯⋯⋯」
反応なし。──かと思いきや。
迷うように頭を途中まで前に傾けかけた、けど、再度頷いた。
目を見開いた。
反応してくれている。
そう思った瞬間、ぼくは目をきらきらとし、ほっぺが赤く染まった。
「びっくりさせちゃったのはごめんね。でも、ぼくね、にんげんたちがどんなにがんばっても、おおきなはにわにすぐにつぶされちゃうのが、なんかね、おもしろくてわらっちゃうの。たいがくんもそう?」
一拍遅れて二度頷いた。
わぁわぁと言いたくなるぐらいの口の形をしていた。
ぼくの話を聞いてくれている。とてもうれしい。
「伶介さまって、そんな嗜好の持ち主なんですか?」と小口さんの訊ねるような突っ込みを耳に入れる暇もなく、ぼくは「うれしい」と笑った。
「おなじあにめがすきで、おなじところがおもしろくおもうの、とてもうれしい。はじめてあったとき、ぼくがずっとはなしていて、いやなのかなっておもっていたから」
口にしたらそうだと思う気持ちが強くなってしまって、嫌な気持ちになった。
ところが、突然大河くんが振り向いたのだ。
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