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16.
「たいがくん、ともだちになってもいい? ううん、ともだちになろう」
「⋯⋯⋯」
赤くしていた大河くんは途端に首を傾げた。
友達というものが分からないようだ。
えっ、と言いかけた言葉を慌てて飲み込んで、代わりに説明した。
「ともだちっていうのはね、はにわとかおなじすきなものをみたり、はなしたり、あそんだりすることだよ」
一応ぼくの言ったことが分かったみたいで、傾げていた首を元に戻した。
それから、無意味になってしまいそうになっていた差し出していたぼくの手を見つめた。
迷っているのか、それともこれの意味も分からないのか。
どちらとも分からないけれども、「ともだちになってもいいよっておもったら、このてにたいがくんのてをのせて」と一応言っておいた。
そう言って少し経ってもまだ悩んでいる様子で、ぼくの手を見つめたまま動かなかった。
迷うのは仕方ない。大河くんにとってぼくが初めての友達だろうから。
すぐに答えを出さなくていい、また会った時に訊いてみようと思った時。
お絵描き帳を持っていた片手を上げた。
その手は小さく震え、それでいて、まだどうしようかと迷っているみたいで、引き気味だった。
でも、少しはそうしたい気持ちを尊重して、ぼくは大河くんの様子を見守った。
そうしたら、ちょんとぼくの指に大河くんの指が触れた。
目を大きく開いた。
それから、満面の笑みを浮かべた。
「たいがくん、ともだちになってくれてありがとう。とてもうれしい」
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