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「おまたせ。行こう」  マスクで顔を隠したアンディがやって来てから、二人は外に出た。  ロイドの自宅周囲には多くの住宅が並んでいる。世間一般は平日のため人の姿は見えず、とても静かだった。  マンションのエントランスを出て、どこへ行こうかと考えながら歩き出した。  すると突然、アンディの表情が険しいものになった。 「げっ……」  ロイドはアンディの見ていた方向へ視線を向ける。そこには、黒いスーツ姿の男女が二人、待ち構えていたように立っていた。 「アンディ所長、お疲れさまです」 「端末の電源切りましたね? サリーと一緒に位置情報から推測するの大変だったんですよ」  アンディの名前を口にしているところから、どうやらアンディのことをよく知っているらしい。もしかしたら、彼らがアンディが逃げている人の正体かもしれない。

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