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青空が広がる外で、すっ、と、ロイドの歌声が消えていった。入れ替わるように、パラパラと数人の拍手がする。
「ありがとうございました!」
この場でロイドの歌を聴いていた研究所の人たちは皆笑顔になっていた。ロイドもつられて笑顔になった。
アンディの研究所で被験体になって数日、住み込みで生活するロイドはすっかり研究所の一員として馴染んでいた。最初のうちは片手で数えられる程度しかロイドの歌を聴いてくれなかった。けれども、歌い続けていくうちに両手でも数え切れなくなるほど聴いてもらえるようになった。どうしてもバーの客には届かない人数だけれども、以前よりロイドの歌を熱心に聴いてくれる人との距離が圧倒的に近くなった気がする。歌っている最中でも、全員の様子がはっきりと窺える。また、皆は仕事中のため酔っていないので、心に直接響いている気がする。
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