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ロイドもその中に入りたいと思った。どんなに素っ気ない態度のアンディでも、ロイドのことをアンドロイドというだけで蔑むことを全くしていない。そんな彼との距離をロイドは近付けたい。
「それにしても、知ってる場所なのによく見ていた景色と全然違いますね」
「昼と夜で出歩く人も変わるからな。まずは、昼しかやってない店で腹ごしらえだ。……っと、ここか」
脇道に入ったところにあったのは、小洒落たカフェだった。最近流行っているのか、店の外に列ができていた。二人は最後尾に並んでメニューを眺める。色とりどりのケーキとともにドリンク名も並んでいる。ふと、ロイドは『コーヒー』という文字が目に入った。
「アンディさんってよくコーヒー飲んでますよね? お好きなんですか?」
「嫌いではないな。コーヒーを飲んでると仕事が捗ることが多くて、おまじないみたいなもんだ」
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