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「あっ、いくらですか」 「いい、俺が払う。俺が来たかった店だしな」 「では、お言葉に甘えることにします。ありがとうございます」  会計をするために先に行ったアンディを追いかける形でロイドは出入口へと進んだ。  ありがとうございました、と店員に見送られ、二人は店を出た。 「よし、次は本屋だな」 「はい、行きましょう」  再び大通りへと戻っていき、人波に紛れながら歩いていく。 「俺も久々にじっくり本を見てみるか」 「電子では読まないんですか?」 「読まないな。どうしてか頭の中に入ってこないから、俺は紙の方が好きだな」 「僕は研究所に来るまで全く触れてこなかったので、違いがよく分かりません。でも、本を読むのは楽しいです」  まだサリーから借りた本しか読んだことはないけれど、本屋に行けばうんとたくさんの本がある。そう考えるだけでもロイドはわくわくしていた。

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