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ふっと笑ったアンディの姿に、ロイドはほっと安心した。同時に、アンドロイドに対して『死』と表現したことに、ロイドはアンディの優しさを改めて感じた。アンドロイドが動かなくなることは、一般的には『壊れる』と言われている。
アンドロイドに対して人間と同じように接しているアンディに、ロイドも笑みを浮かべていた。
「その日は辛かったですけど、今日は楽しい日で終えましょう!」
「そうしよう。だから、俺の前では死なないでくれよ。完全にトラウマになりそう」
「大丈夫です。僕は、ずっとアンディさんのところにいますよ」
「ありがとな、ロイド」
ドキリ。
いつもより激しい高揚感が広がった。おまけに、アンディに触れている手が熱いように思える。
サリーに借りた本の通り、これは恋なのだろうか。
壊れてしまいそうな感覚に心配になりつつも、ロイドは必死に笑顔を保っていた。
「じゃ、楽しく一日を終えるためにそろそろ帰るか」
「は、はい」
なるべく早く検査をしてもらおうか。ロイドはそう考えながらアンディと共に店を出た。
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