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「うーん……なんともないけどなぁ」
アンディの言葉に、ロイドはそうですか、と答える以外できなかった。
アンディと出かけたあの日以来、ロイドはドキドキした感覚が頻繁に出ていた。原因は全く分からないけれど、アンディと楽しく接しているときはほとんどの確率でなっていた。そのため精密検査をしてもらったものの、悪いところはなかった。
ようやく、普通に接してくれるアンディと楽しく話せると思ったのに。ロイドは少し悲しくなった。
「はぁ……」
「大丈夫だ。俺たちがすぐそばにいるから、何かあったときにすぐに対応できる。まあ、何かあってほしくないけど」
「ありがとうございます……」
ロイドは診察用のベッドから起き上がり、ちらりとアンディの姿を見る。視線がぶつかると、なぜだかアンディから目を逸らすことができなかった。
「……ロイド?」
名前を呼ばれてはっと気付いたときには、アンディの右手がロイドの頬に触れていた。
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