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ピキッ──
左肩から嫌な音が聞こえた。それでもロイドは力を抜かない。
すると突然、身体が後ろに倒れていく感覚がした。そして目の前には男と、肩の付け根からコードを垂らす自らの腕が見えた。あまりの力に耐えきれず、ロイドの腕はちぎれてしまった。
呆然とした男が視界に入りながら、ロイドは背中に強い衝撃を受ける。
「うっ!」
視界が一瞬暗くなり、ぐるぐると回っているように見える。
「ロイド……お前、アンドロイドだったのか!」
ぼとりと腕が落ちる音がした。次の瞬間には腹部に重みを感じ、顔に強い衝撃がやって来た。
「っ……」
「お前、今まで俺を騙してたのか!」
何度も何度も、ロイドの顔に男の拳が直撃する。痛みを感じないように制御システムを作動させたけれど、壊れてしまいそうな恐怖でロイドは動けなかった。無抵抗のロイドに、男は大声で罵倒しながら容赦なく殴っている。
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