94 / 110

94

「くそっ、アンドロイドのくせに……」 「アンドロイドも、人間と同じように権利と心がある。お前なんかにアンドロイドを踏みにじることはできない」  アンディの冷たい声に男は黙ってしまった。二人がかりで押さえられていることもあり、完全に諦めたのだろうか。 「ロイド……頼む、死なないでくれ……」  アンディの必死な声がした。かつてアンディの家にいたアンドロイドほどではないだろうが、今のロイドはボロボロになっている。アンディは怖くて怖くて仕方がないのだろう。 「大丈夫です。今何も見えてないですけど、痛くはないので」 「俺がきちんと治すからな。もう少し頑張ってくれ」 「ありがとう、ございます」  アンディがそばにいるというだけで、ロイドは少し安心していた。なんとか動かせる口をニッと動かし、笑みを浮かべてみせた。

ともだちにシェアしよう!