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 全身を電流が駆け巡って起動する感覚がしたが、ロイドの視界はまだ暗い。大がかりな修復と再起動のせいか、慣れた行動が自然にできなかった。  ロイドは意識してまぶたを開けてみた。一瞬視界が真っ白になった。すぐに白さは消えていき、見慣れた天井が目に入った。どうやらロイドの部屋のベッドで横たわっているらしい。  ちぎれた左腕を持ち上げてみる。目の前には指先まできちんと動く左腕が現れた。  アンディは宣言通り治してくれた。ロイドはじんわりと温かい感覚になった。  ふと、当のアンディはどうしているのか気になった。ロイドは身体を起こした。自分の身体にもかかわらず、初めて動かしたような感覚がする。  不思議に思いつつも部屋を見渡すと、ベッドの端にアンディの頭が見えた。床に座って寝ているが、ずっとロイドのそばにいてくれたようだ。

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