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 今日はずっと静観して一切何も言ってこなかったサリー。しかし、ライルから話を振られると、アンディに一歩近付いた。 「所長。ロイドさんと一緒にいるのは構いませんが、一つ有言実行していただきたいことがあります」 「何だ?」 「先日、アンドロイドに心があると断言しましたよね? それを次の学会で客観的に発表してください」  淡々とサリーは提案を述べた。ロイドでも十分に分かる、サリーの提案は一朝一夕でできないことを。  アンディは姿勢を伸ばし、サリーに顔を向けた。 「そんな無理を言うな。すぐには無理だが、早いうちにやる」 「だったら今やるべきことをやってください」 「分かったよ……」 「ロイドさん、甘やかさないで所長を見張っててください」 「わ、分かりました……」  サリーの視線が鋭いように感じるのは気のせいではないだろう。それでも、ロイドはアンディの隣にいて見張りとして役割を果たすつもりでいた。

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