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★秘密のオメガ★ 第17話 叶斗side岳の登校

 「がーく。お前10日も返信無しとか酷くない?」  俺が後ろから声を掛けると、首に仰々しいコルセットをつけた岳はハッと俺に振り向いた。二週間ぶりの岳は少し痩せたのか、肌も何だか生っ白い。周囲の生徒もなぜか話しかけるのが躊躇われるようで、俺は様子のおかしな岳に近づいた。 「…どうしたの首。事故にあったの?」  すると岳は顔を背けて頷いた。その時ふわりと匂った残り香が俺の岳への疑惑を思い出させた。 「なぁ、お前って実は…。」  そこまで話したところで、岳は急に急いで歩き出した。岳の目指す先には、東京からのいけすかない転校生が数人の生徒に囲まれて立っていた。転校生は岳が近づいてくるのを見ると、手を上げて嬉しそうに微笑んだ。それから何か二人で話すと岳は一人で教室へ向かった。  俺は慌てて岳を追いかけると、遠ざかる岳をまだじっと見ている転校生をチラッと見た。転校生は俺を目に留めると面白そうに笑みを浮かべて顔を逸らした。何だあれ…。  眉をひそめて岳に追いつくと、さっきの話の続きをしようと後ろから声を掛けた。 「岳、あのさ俺…。」  すると岳が振り返って俺を見つめて言った。 「叶斗、着信切ってて悪かったな。検査入院してて連絡取れなかったんだ。今もすっかり元気って訳じゃないけど。…あのさ、お昼しばらく一緒に食べれないかも。今日弁当持ってきたから教室で食べるし。」  俺は岳の言う事が何だか頭を横滑りしていく感覚に陥っていた。目の前の岳は俺の知っている岳だけど、でも全然別人の岳の様な気もしたからだ。何だこれ…。  岳の唇が妙に赤く感じると思いながら、俺はゆっくりと岳に近づいて岳を腕の中に抱きしめてしまった。ああ、何やってんだ俺。  岳の慌てた様な声でハッと我に返った俺は直ぐに離れると、びっくりして目を見開いて俺を見つめる岳からやっぱり目が離せなくてひと言呟くのが精一杯だった。 「…俺もお前の教室で食うから。」  それだけ言うと、岳から離れて自分の教室へ急いだ。周囲の生徒達が何か騒いでたけど俺にはどうでも良かった。でも今の俺の感覚はどうでも良くない。  普段から他人に興味のない、どちらかと言うと太々しさ満載の岳が、さっきは馬鹿みたいに頼りなげに見えた。そんな岳を俺は自分のモノだと無意識に身体が動いてしまったんだ。  俺を驚いた顔で見上げた岳は、ヤバい。マジで可愛かった。あんな愛想もないやつ可愛いとか、俺本当どうかしてる。でも俺は周囲のクラスメイトに指摘されるほどニヤついてたみたいだ。俺、岳に惚れてんのか、やっぱり。

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