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第18話 どうしろって言うんだ

 俺はポカンとして叶斗の後ろ姿を見送った。今俺抱きしめられた?何で?ほらお陰で俺女子に睨まれてるじゃん。はぁ。あいつマジでふざけ過ぎなんだけど。しかも昼に教室来る気満々じゃん。  でも桂木先生はアルファの友達とは出来るだけ二人きりになるなって言われてるし。教室なら安全かな…。もう、色々めんど。  俺は頭を掻きながら教室に入った。流石に急に休んでいたし、首にはコルセットあるしで、クラスメイトから大丈夫かって労われてちょっと浮上した。  今まで愛想も何もない奴だったのに、俺にみんな優しいな。ていうか、俺こんなんで浮上とか相当弱ってるみたいだ。人生爆発したようなものなんだから、それもしょうがないよな。そんなことを思って席に着くと、相川が振り返って俺をじっと見た。 「…お前死亡説出てたぞ。急に入院とか言うし、連絡取れねーし。お前って誰とでも話す訳じゃないけど、優等生だし、運動神経良いし、結構注目度高いんだぜ?…入院してたせいかな…。お前雰囲気変わったな。」  俺は眉を顰めて誤魔化すように言った。 「やつれたかもな。入院中怠かったし。実際ちょっと痩せたわ。筋肉落ちてガッカリ。」  そんな俺たちの席の隣に、教室の入り口から入って来た圧のある高井が立ち止まった。俺と相川が高井を見上げると、短い髪を逆立てた高井が俺に言った。 「さっき下でお礼するって言ったろ?あれほんとか?」  俺は一瞬ポカンとしたけれど、チラッと野次馬根性丸出しの相川を気にしながら頷いた。 「…ああ。実際あの時高井が居てくれなかったら、俺結構ヤバかったから俺に出来ることは何でも?…するよ。何お礼したらいい?」  高井はじっと俺を見つめてボソッと言った。 「俺と友達になって。」  相川が顔を逸らして笑いを堪えている。俺もこんな風に友達になって下さい!みたいなの言われたの初めてなんだけど。しかも今、アルファ近づけたらダメなんじゃないのか俺。  でも俺はある意味恩人である高井のお願いを断れる立場になかった。俺は引き攣った顔で頷くと、高井は少し嬉しそうな顔で手を差し出した。え…。握手?この教室で?教室の注目がすっかり集まっているのをひしひしと感じながら、俺は恐る恐る高井の手を握った。  グッと握られた握手は思ったより強くて、俺は思わずグッと握り返してしまった。やられたらやり返すだ。するとクスッと笑った高井は、人差し指で俺の手のひらをくすぐる様にして手を離して言った。 「じゃあ、昼一緒に食べよう。」

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