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第25話 痴漢は俺だ
ああ、気持ち良い。もっと…。もっとこの甘くて美味しい味がもっと欲しい。それに身体が騒つくほどに、クラクラするこの匂い…。
ぼんやりと俺は意識が浮上して、目を閉じながらも違和感を感じた。俺が何か硬くて弾力のあるものに乗り掛かっている気がする。しかも自分の股間が張り詰めてる?
重い瞼を開けると、目の前に爽やかな病気に掛かってる高井が目を閉じて転がっていた。その身体に俺がのしかかっている。しかも高井にキスしてる…!どういうこと?俺は状況が読めずにガバリと起き上がるとソファから転がり落ちた。
部屋に響く映画のセリフが記憶を甦らせた。そうだ俺、高井の家で映画観てたんだ。寝てしまって、それから…?俺が混乱していると、高井が大きく伸びをして目を開けた。
「岳が直ぐ眠っちゃうから、俺も釣られて眠ったみたいだな…。何か今さ…。」
そう言って自分の唇を指で触れると気怠げな眼差しで俺を見た。元々爽やかなイケメンだと思っていたけど、こいつこんなに色っぽい顔もするんだ…。俺がそんな事を思いつつ呆然としてると、高井がチラッと俺の下半身に目をやってぽつりと呟いた。
「寝起きで勃っちゃった?」
俺はハッとして自分の下半身を見下ろした。馬鹿みたいに勃ってる。俺は居た堪れなくて、リュックを手に取ると部屋を飛び出そうとした。でも俺の手はがっちりと高井に掴まれて、ソファに引き戻されていた。
「…それじゃ、帰れないだろ?それに俺も何故か一緒だし。」
そう言って自分の股間を見下ろすから俺も釣られて視線を動かした。いや、ガチガチじゃん。俺の方が全然可愛いもんだ。俺は高井の下半身の迫力に顔を引き攣らせて、掴まれた手を引っ張った。
「ごめん、何か俺、高井にのし掛かってたみたいで。…しかも寝ぼけてキスもしちゃったみたいで。痴漢みたいな事しちゃって、ほんとごめん!」
俺は夢うつつに、あの甘い味と柔らかな感触を思い出した。感触?俺がアルファの高井を襲ったんだ…。桂木先生はアルファに襲われない様に気をつけろって注意したけど、俺がアルファを襲う事については何も言ってくれなかった!
オメガがアルファを襲うとか、そんな事があるなんて知らなかった。ああ、どうしよう。俺は固唾を飲んで高井の言葉を待った。なんてお詫びをして良いのか分からない。
すると高井が俺をじっと見て言った。
「俺にキスしたからそんな風になったの?…岳ってエロいな。いいよ。俺もこんなだし、この責任とってもらえればキスはちゃらにしてあげるよ。」
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