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★バースの世界★第55話 ぐったり

 俺は自分のベッドへ突っ伏した。また流されてしまった。俺の身体は自制が効かない。あいつらのキスは堪らなく官能的で、甘くて美味しい。ある意味悪魔の口づけだ。  今も身体が疼くのは、マーキングされたせいなのか、ただ単に俺が煽られたせいなのか…。今日の胸への愛撫はびっくりするほど気持ち良かった。前も身体をなでられた時に感じていたかもしれないけれど、裸の胸を高井に…、あれって舐められたのか?吸われた…?  どちらにしても、俺の身体は言う事を聞かないのは確かだ。これがΩだと言うのなら、とんでもないな、Ωって。普通にバース関係なく交際していてもこれくらいの事はあるんだろうか。  でもそもそも、俺たち付き合ってるわけじゃない。友達…だぞ?二人から好きだと言われてるけども。俺は?それに番って一対一の関係だよなぁ。俺たち一対二で、歪だ。俺はどっちも嫌いじゃないし、身体はあいつらが好きでも、気持ちが好きかどうかなんて分からない。…嫌いじゃないけど。  俺ってもしかして二人のアルファを弄んでる様に見えるのかな。相川にハーレムだって揶揄われたのも、案外まるっきり当たってないとは言えなくなってきた。はぁ。くそっ。  俺はさっきから、風呂上がりで疼く身体に手を伸ばした。冷静になれる様に状況を整理していたのに、効果はあまり無かった。すっかり兆した俺自身をいつもの様に手でやわやわと扱いていると、ズクリと後ろが濡れる気がした。  俺はそれが怖くて実は風呂場以外で自分でしていない。自分のΩとしてのはしたなさに対して正面から向き合えないんだ。いっそあいつらに最後までしてもらった方が良いんだろうか。もう、こうやって考えるのも限界になってきた。  ああ、こう言う聞き辛い事をΩの人に聞きたい。俺はある閃きでベッドから起き上がった。俺ってやっぱり山伏が過ぎるのかな。今は、SNSで匿名で色々な相手と繋がれるじゃないか。  俺は涼しくなった股間をササッと仕舞い込んで、スマホの画面を光らせた。Ωの悩み…、Ω濡れたら、いや、あ、これはどうかな…。Ω同士でトークってのがある。Ω男限定?これが良いかも。  それから俺はチャットトークの会員登録をした。でもこれじゃΩ男子かどうか証明できない。ネットの、向こう側の居る相手がなりすましの可能性だってある。俺はしばらく光る画面を見つめていたけれど、ダメ元でチャットのトークルームへの参加ボタンをなぞった。

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