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第59話 俺の決心再び

 「え?何て言ったの?」  呆気に取られた表情で、でも赤い顔をしているのは叶斗だった。高井は頭を抱えている。俺は予想に反して二人の反応が芳しく無いのに眉を顰めた。 「こっちこそ、二人の反応がそれって予想外なんだけど。もしかして嫌だった?」  慌てた様に叶斗が俺に抱きついて言い訳した。 「嫌な訳ないじゃん!ただ、岳からそんな風にお願いされるとか想定外だったから、びっくりしちゃったんだよ!えー、でもどうして急にそんな大胆な事言うの?俺は嬉しいし、そんな岳に付け込みたいけど…。理由聞かせて?」  俺が叶斗の腕の中から逃げ出そうともがいていると、ため息をついた高井が俺から叶斗を引き剥がして言った。 「おい、とりあえず岳の話聞くぞ。まったく岳は行動も考えもとんでもない方向へ弾けるから、俺は心配だよ。色々と。」  二人が俺の前に陣取って改まるから、俺は何だか居心地が悪くなってしまった。さっきサラッと上手く提案出来たと思ったのに、こうやって改められると全くもって言いづらいぞ。俺は咳払いをすると、さっきと同じセリフを言った。 「…俺とエッチしてくれない?」  二人は顔を見合わせて、それから俺に同時に口を開いた。 「「だから、なんで!」」  お、ハモった。俺は誤魔化すのも限界だと感じてしぶしぶ考えを話した。 「昨日、キスのマーキング?された時、俺言ったよね?濡れるからこれ以上はいやだって。お前たちも想像してくれよ。今まで後ろが濡れるとか、経験ないだろう?それがいきなり濡れるんだ。もう、それって恐怖というか、どうしようもないって言うか。  特に俺はそうなるかも知れない覚悟もなくていきなりそうなんだから、濡れることが受け入れられないんだ。昨日男Ωのトークルームで聞きたかった事もまさにそれだった。急に濡れない様にするにはどうしたら良いかって。  そうしたら、経験を積めば簡単に濡れなくなるって何人も同じ事言ってた。アルファに相手してもらえって。」  すると高井が額に手を当てて呻いた。 「それで俺たちとエッチしようって言ったのか?」  俺はコクコクと頷いた。まったくこんな提案するとか、俺の人生じゃ想定外なんだ。これ以上恥ずかしい思いをしたくないんだけど。すると叶斗が寄りかかっていた机から立ち上がると、嬉しそうに、いや、何だか怖い顔で微笑んで言った。 「まったく、岳ってアルファなら誰でもこうやって頼んだのかな?俺たちだから頼んでくれたなら良いけど。じゃあ、俺は岳の気の変わらないうちにつけ込ませてもらうよ。今日の放課後初エッチしよう。」

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