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第62話 準備って何ですか?
俺はベッドにボスンと腰掛けると、部屋の中に入って来た二人を見上げた。こいつらがここに居るのって、山駆けで沢に降りようとして落下した時以来だ。あれからそんなに経っていない気がするけど、アザはもう薄くなっている筈だ。
「さあ、しようぜ。」
俺がそう言うと、おもむろに叶斗が夏服のワイシャツを脱いだ。目の前に、まぁ何度か見たことのある引き締まった筋肉質の上半身が現れた。柔らかなパーマヘアで垂れ目の甘いマスクの芸能人かモデルみたいな叶斗は、羨ましいを超越していて、雑誌でも眺めている気分だ。
なぜかため息を吐いて、高井もワイシャツを脱いで裸になった。高井との付き合いはまだ短いのでじっくり見たことはなかったけれど、想像よりも妙にマッチョな気がした。着痩せするタイプなのかもしれない。ツーブロの短髪で、いかつい顔の高井は東京で何かスポーツでもしていたのかもしれない。
「…岳も脱いだら?」
叶斗にそう言われて、俺は二人の裸をぼんやりと見ていた意識をハッとさせた。ああ、そうだ。俺も脱がないと…。え?二人のそのギラついた眼差しで視姦されながら脱ぐの?いや、それは自意識過剰だ。脱げる。…ああ、やっぱ無理。
俺はさっきまでの一発ヤルって気持ちがすっかり萎んでしまった。恥ずかしいし、男にされるのは正直怖い。そんな俺を見ていた高井がクスッっと笑った。
「いや、岳があんまり男らしいから、俺も違う扉が開くかと思ったよ。岳、必要だから身体を合わせるんじゃなくて、触れたいから身体を開くんだよ。そう言うものだろ?それに、男同士は準備しなくちゃ。」
そう言って俺の手を取って立ち上がらせると、そっと抱き寄せた。優しく身体を大きな手でなぞられて、俺は緊張を解いた。ゆっくり降りてくる高井の細めた眼差しに誘われて、俺は目を閉じて唇を合わせた。
何やかにや言って、俺もすっかりこいつらとするキスにはまっている。唇を合わせればあっという間に気持ちよさで蕩けてしまった。叶斗が後ろで何か言ってから、部屋を出て行った音がした。
俺の口の中を擦る高井の分厚くて大きな舌が、柔らかくて気持ちがいい。俺は貪るように高井の口の中へ舌を伸ばした。俺たちが夢中になって口づけていると、部屋に戻って来た叶斗が風呂の用意が出来たよと言った。
すると高井は顔を離して俺に言った。
「男同士の準備しないと。俺たちに任せて。」
俺は男同士のやり方はΩになってから勉強したし、分かってるつもりだったけれど、実際自分ではできそうもなかった。気怠い気分のまま2人に連れられて浴室へ向かった。
浴室の脱衣所で、俺は今度は叶斗にキスされながら、いつの間にか裸になっていた。キスで気持ちよくなってしまった俺は、すっかり兆していたし、チラッと見ると、2人もまた俺より一回り大きなそれを見せつけるように高ぶらせていた。
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