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第67話 初心者仕様でお願いします※

 高井にすっぽりと抱き込まれて、身体を捏ね合わせられると、俺は馬鹿みたいに蕩けてしまう。もうぐったりとしてるのに、湧き上がってくる焦燥感に煽られていた。 「…岳の匂いがどんどん強くなってる。ヤバいな。」  そう赤らんだ顔に汗を滲ませて俺を見つめる高井は、いつもと違って余裕が無いみたいだった。俺は自分だけが馬鹿みたいに喘いでいるわけじゃ無いと知って、少し余裕が出た。 「んっ、たかいっ、おれ、初心者だからなっ、あ、んんっ!」  話してる側から耳をなぶられて、俺はゾクゾクして身体を反らせた。高井は俺を睨みつけて言った。 「高井じゃなくて、新だって言ったろ?言わないと…。」  熱い塊が俺の中を侵すのを感じて、俺は腰が逃げた。 「あ、ダメって言ったじゃん。んっ、あんっ。」  結局、俺は新にじわじわと侵されて、ゾクゾクする気持ち良さに鳥肌を立たせた。結局声が枯れるほど揺さぶられて、引き攣る様な絶頂に連れて行かれてしまった。 「…井、岳がとん…ん、まぁ、しょ…ない…。」  叶斗の声が薄ら聞こえて、俺はまた気を飛ばしてしまったんだと思った。髪を撫でる優しい手つきが、疲れ切った俺の身体と心を癒していく気がした。 「がーく。目が覚めた?まったく高井は酷いね。容赦ないんだから。」  俺は声が出そうもなかったけれど、声の発生源を睨もうと重い瞼を開けた。すると、部屋に用意されていたペットボトルを、叶斗が俺を起こして飲ませてくれた。  カスカスの喉に染み渡る水気が、俺の声を取り戻させた。 「…人のこと言えない…だろ。」  叶斗はニンマリして俺に甘く口づけると、ちゅっと音を立てて顔を離した。 「だってさぁ?岳の匂い凄いから、もう全然無理だった!高井だって、あんなタイプだとか全然思わなかったよ、俺。」  叶斗が何を言っているのか分からなくて、俺は眉を顰めて高井を見た。ベッドに寝転がっている高井は俺の視線を感じると、少し赤くなってゆるゆると起き上がった。 「…全然手加減出来なかった。悪い。岳が可愛すぎた。」  いやいや、何そんないきなり高井らしくない事言ってくれちゃってんの!?こっちが困るんだけど!俺は多分顔が赤くなってしまったんだろう。不機嫌な顔をした叶斗が俺に抱きついて文句を言った。 「えー、俺がいつも可愛いって言ってる時はスルーなのに、何。高井が言うとそんな顔赤くしてさ。」  俺はもうキャパオーバーなんだ。お願いだから、もう解放して!

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