68 / 137
第68話 多分大丈夫
あいつらを帰らせて、俺は取り替えたシーツの上でぐったりと横たわっていた。本当にこれで良かったんだろうか。…何か早まった気がする。でもこれで俺は濡れる事から免れるかもしれない。その時は、本気でそう思っていたんだ。
結局動けない俺は、二人に抱えられてシャワーを浴びさせてもらった。一緒にシャワーを浴びているだけなのに、あいつら兆していて、俺はマジで怖かった。
さっきみたいな、アルファのくれるエンドレスの快楽って、拷問みたいなんだ。自分では止められないのに、気持ち良くて苦しい。俺が強張った顔で股間を見たのに気づいた叶斗が、俺を優しく洗いながらクスクス笑って言った。
「慣れてない岳に、馬鹿みたいに盛らないよ。もっとじっくり慣らしてやるからさ。今回は初めてだったから二人でする事になったけど、別に一人で優しく可愛がるのもありだから。」
俺は、首を傾げて言った。
「いや、もうしないだろ?とりあえず経験すれば、濡れなくなる。俺にはそれが全てだから。」
俺の顔を二人が何とも言えない表情で見つめた。高井改め、新は咳払いして俺に言った。
「…まぁ、岳が濡れなければそれで良い。もし濡れて困る様ならまた言ってくれよ。治療するから。俺たちアルファじゃないと意味ないからな?」
そう言って妙に優しく笑ったんだ。新はあんまりそんな顔で笑わないから、思わず何か他意があるのかじっと見つめてしまった。それを見ていた叶斗がそろそろ出ようと声をかけてきたので、俺たちは部屋に戻ってシーツを替えた。
「じゃあ、ゆっくり休んで。きっとしばらく腰が痛いだろうから。あ、でも岳は山伏だから元気な方だと思うよ。」
そう言って叶斗は新をせっついて帰っていった。俺はふと、あいつらはΩとは付き合ったことは無いとは言っても、経験はあるんだなと思った。それを言ったら、俺だって付き合っている訳じゃないのに二人と同時に経験するとか、本当爛れている。
俺は大きくため息をついた。βの頃は、俺はただ山伏の修行に明け暮れていた普通の高校生だった。それがどうだ。具合は悪くなる。挙句の果てにはΩに変異して、男なのに後ろからドロっと何か出てくるんだ。
自分でコントロール出来ないという事が、こんなに恐ろしいものだとは思わなかった。そう考えるとオメガに関わらず、女子ってのは生理もあるし、平気でコントロールできないものを受け入れているんだから、案外男より強いのかもしれない。
俺の変異Ω生活は、こうして爛れていくのかな。このままβの時の様に平々凡々と生活できると良いけど。俺は疲れ切っていたので、グダグダと考える間も無く、そのままぐっすり朝まで眠ってしまった。
ともだちにシェアしよう!

