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第76話 抗えない誘惑※

 背中に柔らかなベッドの感触を感じて身動きすると、休みない新の唇が降ってきて、俺の重たい瞼は開く事を許されなかった。シャツがいつの間にかはだけていて、チュクチュクと唇で悪戯されている感触に、ビクンと震えた。  いつの間にか叶斗の柔らかな髪が胸元に感じられて、俺は新のベッドの上で二人にのし掛かられていた。それに抗う気にならないくらい、俺は二人の甘さと匂いに慣らされてしまっていた。  俺を確実に良い気分にしてくれる、約束されたそれらは、性的な行為を覚えたての俺を止める術を持たなかった。自分でもまだ踏みとどめることが出来ると思っていたのは、甘かったんだろうか。気づけば、いやらしい水音を立てて、俺は喘がされていた。  濡れないなんて嘘だ。学校でおふざけ程度にお試ししていたキスは、こいつらは完全に手を抜いていたんだと今なら分かる。アルファに本気を出されたら、俺なんてあっという間に欲望の海に投げ出されてしまった。  スルリとズボンが脱がされた時も、俺はもう成されるがままで、少し濡れた下着を早く剥ぎ取って欲しいくらいだった。新の頭に抱きついて胸を舌で愛撫されながら、俺は熱い息を吐き出して腰を揺らした。  腿に垂れる自分の分泌液を叶斗の指先がなぞりあげるのを感じながら、耳元で甘く囁かれる甘い声に背中がゾクゾクする。 「がーく…。可愛いね。俺の指でここ掻き混ぜて欲しいでしょ?ね?おねだりして?」  俺はそんな事絶対言えないと頭の中で抵抗を感じて、心臓がドキドキしながら、それでも身体の疼きに耐えられなくて思わず呟いていた。 「…んっ。かなと、挿れて…。指、挿れて。」  耳元で叶斗が息を呑むのを感じた。 「…やば。岳にそんな事言われたら、もう昂って堪んない。素直な良い子の岳には、お望み通りぐずぐずにしてあげるからね?」  そう言う間も無く、俺の中にグッと入り込んで来た叶斗の指に、俺は大きく喘いだ。ああ、最高に気持ち良い。同時に新にキツく胸の印を吸われて、俺はビクビクと震えてしまった。 「うわっ。ヤバいんだけど、締め付け。この中に俺の挿れたらどんだけ気持ち良いんだろ。」  そう上擦った叶斗の声に羞恥心が掻き立てられて、俺は思わず呻いた。すると新が叶斗に怒った様な声で言った。 「…今日は俺からだから。な?岳も俺のこれで掻き混ぜて欲しいだろ?」  そう言いながら、俺の手を新のはち切れそうなそれに導いた。ああ、なんか、これ欲しい…。俺はすっかり欲望の虜になってしまった。…Ωだからしょうがないんだ。俺は自分にそれを正当化出来ることに何処かしらホッとしていた。

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