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第100話 新side目の前のエロス
俺たちが東京で大学見学をする目的は、暗黙の了解で、岳とのイチャイチャも含まれていた。外的要因を感じないでエロに集中できるのは、期待で胸も股間も熱くなる。実際、俺は旅行前にラブホテルでの岳とのあれこれを思い出して、何度自分を慰めたか分からない。
東京では、気が向けば誰か相手を見つけて欲を発散していた事を考えると、こっちでの生活は修行僧のように清廉だ。かと言って、岳以外の相手と交わる気にもならないのは不思議な程だった。
だから目の前で叶斗に攻め立てられている岳の甘やかな声を聞いているだけで、俺の昂りはダラダラとよだれを垂らして、慰めを必要としていた。俺は岳にバレないようにスマホをセットして録画を始めると、自分の猛り切った昂りを手で弄りながらなだめた。
チラッと叶斗が俺を見て、スマホで撮っている事も、二人を見ながら一人でしてる事にも気づいて意味深に笑うと、急に岳に意地悪な事を言い出した。四つん這いになった岳が本当に誘惑するのかと、固唾を呑んで見ていると、さすがに無理だったか、泣きそうな顔をした。
俺は岳のあの顔にたまらなくゾクゾクさせられるんだ。びっくりするほど俺の股間が張り詰めて、思わず根元を握った。荒い息を吐きながら、気持ち良さげに岳の中へ入る叶斗を羨ましく思いながら、犯される岳の甘い声を聞いていた。
それから俺は目の前のいやらしい二人の睦ごとを眺めながら、のぼり詰めないように一人楽しんだ。気持ち良さげに乱れる岳が可愛いやら、エロいやらで、気づけば岳が絶頂を迎える時に、俺もまた手の中に白濁を吐き出していた。
それでも終わらない二人に少し呆れたのは、俺が賢者の時間だったせいだろうか。俺は立ち上がると部屋を出て、洗面所で手を洗ってから、冷蔵庫から冷えた水を三本取り出すと部屋に戻った。
ぐったりした岳を抱きしめて、嬉しそうな顔をデレつかせている叶斗に合図すると、叶斗は俺から水を受け取って、岳に口移しで水を飲ませていた。こいつ、どれだけ溺愛してるんだと呆れたけれど、もし俺がそこに居たのなら、同じ事をしたかもしれないな。
多分俺も、ここまで誰かにのめり込んだ事なんて無い。欲をぶつける相手に水を給餌するなんて行為は、そもそも独占欲や支配欲の表れだ。今まで俺が寝て来た相手に、そんな付け込まれる行為などとんでもなかった。付き合っていた相手にだってした事はない。
結局、俺たちは岳に付け込まれたいのに、隙あらば逃げ出してしまいそうな岳に溺れていて、どうしようもないんだ。俺は満たされない渇きは水分じゃなくて、岳からの気持ちなんだろうかと考えながら、水をゴクゴクと飲むとベッドに近づいて、立ち上がった叶斗にニヤリと笑うと、岳に聞こえないように囁いた。
『撮ってるのバレるなよ。』
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