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第101話 動画

 あれから俺は、新にも馬鹿みたいに貪られて、ぐったりとベッドに横たわった。いつもの事ながら、二人と身体を合わせた後は、自分らしくないその時の乱れ具合に恥ずかしさが募ってきて、何とも言えない気持ちになるんだ。  俺は目を閉じてふて寝というか、一人反省会をしていたんだけれど、違和感を感じた。いつもなら、叶斗と新が俺に抱きついてきて鬱陶しいのに、新も急に起き上がってベッドから降りた。  俺は薄目を開けて、二人の様子をこっそり見つめた。叶斗が新にスマホを手渡していた。俺は事前の会話を思い出して、思わず新に呼びかけた。 「…新、まさか撮ってないよな?」  俺が起きて見ていたなんて思わなかったんだろう。二人は分かりやすく身体を強張らせて俺を見つめた。 「…岳、起きてたの?」  そう言って叶斗が近づいてきて、俺の側に腰掛けて、疲れ果てて身動き出来ない俺の髪を撫でた。 「もし動画撮ったんなら消して。そうじゃなきゃ、もうお前達と連まないから。」  そう言うと、叶斗はピクリと指を止めてため息をついて言った。 「岳、お願い。電子ロック掛けるから。ね?俺たちだって、なかなか岳とエッチする機会が取れないから、苦肉の策なんだよぉ。本当は毎日でも岳とイチャイチャしたいんだからさ。」  俺は叶斗達の言い分も多少は分かる気がしたものの、とは言え動画で自分のあられもない姿が残るのは別な気がした。 「見せて。内容によるから。」  そう言って手を差し出した俺に、叶斗は諦めた様に新に頷いた。その時、これ以上悪い事は起きないと思った俺は、やっぱり世間知らずだったんだ。部屋の大きなTV画面に、いきなり映し出されたのは、叶斗と俺のいやらしいR18だった。  俺は呆然としてしまった。叶斗の筋肉質の美しい身体はともかく、俺のあんな甘えた様な姿を、自分で自覚するとか耐えられない。 「わー!止めて!ストップ!絶対ダメ!」  プツンと画像が消えて、俺は羞恥心で心臓が爆発寸前だった。すると、起き上がっていた俺を叶斗がぎゅっと抱きしめて言った。 「ああ…、凄い岳。めちゃくちゃ良い匂い。興奮しちゃった?動画を消すのは勿体無いけど、目の前に本物が居るんだから、目に焼き付けることにするよ。」  俺が、叶斗の色っぽい眼差しに囚われて戸惑っていると、新もギシリとベッドを揺らして乗り上がって来た。 「そうだな。動画より、本物泣かせた方が、ずっと良いな。」  そう言って瞳をぎらつかせる新に、俺はもしかして動画で手を打っておいた方が正解だったのではと青褪めた。  

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