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第130話 叶斗side独占の先は※

 ホテルの部屋に入る前の廊下でがっつくとか、俺もヤキが回った。でもそれくらい岳と二人だけでこれから愛し合う事に浮かれていたし、正直嬉しかった。  岳が灰原さんと週末にデートするの本当にムカついたけど、実際今だって納得はしてない。けれど、こうやって岳が俺を取り成してくれる事に、特別扱いを受けている様で単純な俺は良い気分だ。  金持ちのアルファの家の息子、アルファである俺、そんな事はやっぱり岳と一緒に居ればちっぽけな事なんだ。岳が見ているのは俺そのものだから。  そうは言っても俺のフェロモンであっという間に蕩け出す岳を見てると、本当にアルファで良かったと思う。岳が変異Ωになったお陰で、俺は確実に岳にとってなくてはならない相手になれるんだ。  シャワーを浴びた時に少し濡れた襟足はいつもより少し伸びていた。俺はそれをなぞりながら、髪までΩ効果が出ているのかと、その手触りを楽しんだ。  ベッドに近づいて縋り付く岳をそっと寝かせると、物欲しげな眼差しで俺の身体を見つめた。そんな顔で、しかも少し開けた唇から舌を見せる岳に、俺の逸物はブルリと猛り切ってしまった。  ゆっくり鳴かせようかと思っていたけれど、取り敢えず今は岳を自分のものにして匂いを擦り付けたかった。俺は財布から錠剤を一粒取り出すと、少し開いた岳の舌の上に載せた。 「避妊薬。念のため、な。発情期じゃないから大丈夫だと思うけど、絶対じゃないだろ?」  そう言って部屋のミネラルウォーターを口に含んで、素直に俺を待つ岳に飲ませた。俺はおかしいくらい給餌行為がツボになってる。ベッドの時に岳が飲む水分は全部俺が与えたいし、ついでに口の中を弄りたい。執着なのか、愛着行為なのか…。  振り返ると、岳が自分の胸をそろりと撫でていて、俺は一気に熱くなった。俺は妙に意地悪な気分で、岳の前で自分の昂りを見せつけて扱いた。 「岳、我慢できなくて自分で弄っちゃったの?もう胸のそこ、すっかり硬くなって俺に舐めてもらいたがってるね。でもほら、俺のこれも岳に入りたがってビンビンなんだけど。どうする?舐めっこする?それとも見せ合いながら、自分で触ってる?」  俺は見てるだけなんて選択肢は無かったけど、泣きそうな顔の岳がもう待ちきれないのは、さっきシャワーで後ろが酷く濡れていた事からも十分に分かっていたんだ。  岳は声を掠れさせて、俺に頼んだ。 「かなと…、なめる。なめさせて。」  ああ、岳が可愛くて、可哀想で、俺、開けちゃいけない扉開けそうだよ。はぁ、最高。

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