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               僕はたしかに、此処カフェ『KAWA's』でも働かされているが――その実、もちろんあの“性奴隷契約書”にもある通り、会員制ハプニングバー『AWAit』でも働かされているのだ。  いうなれば『KAWA's』の、()()()()()()()()、とでもいおうか。――経営はもちろんノダガワ・ケグリ氏がしており、店舗もこのカフェ『KAWA's』と同じ場所だ。    会員制ハプニングバー『AWAit』は、金・土・日曜日のみ開店する。  ちなみに『AWAit』開店の際には、アダルトショップ『Cheese』の隣、この店への、くだり階段入り口上部に吊り下げられた『KAWA's』のネオン看板――あれが、『AWAit』に変化するのだ。    “K”の光を消し、“AWA”を灯した上で“ ′ ”の下にある“I”を灯すことで“i”に、そして“s”を“t”の形になるように灯す。…そうすることによってあのネオン看板は、昼間は『KAWA's』、週末の七時からは『AWAit』となる。    また『AWAit』は、月額会費五万円の会員制ハプニングバーで、来店の際には、その会員証を提示しなければ入店することはできない。  そして、僕はそのハプニングバー『AWAit』専属の、“某アルファの名家に生まれた、哀れなオメガ性奴隷(ユエ)”として働いている。    そう。店内にあるあのステージは、『AWAit』となったときに使われるものだ。  そのステージの上で僕がストリップをさせられたり、オナニーショーをさせられたりしているのである。    そしてそのステージが終われば、僕は裸同然の衣装を着せられて、『AWAit』へと訪れた会員の一人一人に、挨拶回りをする。――お酌をしたり、会話をしたりといったことのほか、『AWAit』の会員は店内で、僕に好きなことをして構わないことになっている。  つまりキスをしようが、僕の体のどこを触ろうが、フェラチオをさせようが、辱めようが、カウンターテーブルに立てて並べられた数々のアダルトグッズで僕をなぶろうが…――そのまま犯しても、犯されている僕の口に男性器を突っ込もうとも、僕の肉体も精神も好きにして構わないことになっているのだ。  また、主人が会員証を持っていれば、自分の奴隷を連れてくることも可能で、僕とその奴隷とを競わせて遊んだり、僕らの()()を楽しむ人も結構いる。――ちなみに、僕はこの店で働いて初めて同属のオメガと会った。…悲しいことに、お互い主人のいる性奴隷として、なのだが。    そして、店内でも好きなようにして構わないとされる性奴隷の僕だが、会員は、別料金を支払えば僕のことを別室で独占することができる――ちなみにカフェ『KAWA's』の“スペシャルメニュー”の際に使われる別個室と同じ部屋であり、ステージ横の扉から入り、事務所を抜けた先にその部屋はある――が、それは予約制かつ、制限時間もある。    僕は正直、ご主人様であるケグリ氏が許可したことはこの『AWAit』で何でもさせられるが、実はその予約を使う人自体はわりと少ないのだ。――それはむしろ、僕を独占して犯すなら、()()()()のほうが独占できる上に、プレイ内容も幅広くなるためだろう。    それから、今ソンジュさんが言った()()()()というのは…――僕の“オメガ排卵期”二日目、三日目に開催される、“乱交パーティー『〜淫乱オメガ奴隷(ユエ)の排卵日感謝祭〜』”のことだ。    そのイベントのときだけは会員証を提示する必要がなく、そのかわり『AWAit』の公式サイトから、抽選制のチケットをネットで購入することにより、それに参加することができる。――とはいえ『AWAit』の会員のほうが抽選確率は上がるのだが、それ以外の人の枠も別に用意されている。    触れ込みは『オメガ排卵期の(ユエ)を犯し放題、中出しし放題、あなたも(ユエ)を孕ませられるかも!?』…――ドリンクは飲み放題、食事は別料金…それでチケットの値段は六千円だ。    ちなみにこのイベント、毎回かなりの大反響を得る。  かなりの破格で、“絶品名器”となるオメガ排卵期を迎えた僕を好き勝手できるというのもあり、毎回、そのイベントのチケット三十五枚はすぐに売り切れているそうだ。    ただ、それはすなわち僕一人に対して三十五人のお客様という構図になるため、僕のナカに挿れられない人が出てくるどころか、僕に触れられない人さえ出てくる。――すると結局、会員制ハプニングバー『AWAit』の、会員に入会する人も多いのだ。    まあ、ご主人様が僕を縛り付けて脚を開かせ、ひたすらお客様に中出しをしてもらう“公衆肉便器スタイル”を取ることもあるが、――ケグリ氏は、このイベントで新規会員を会得する目的があるために、一年に一度の“大感謝祭”としてしかその“公衆肉便器スタイル”を取ることはない。    ちなみに僕は、この感謝祭のときに、僕は自分を犯す人にこう言わなければならない。――「妊娠させてください。僕に種付けしてください。責任なんか取らなくて結構ですから、僕を妊娠させてください。おまんこにいっぱいザーメンください。子宮をザーメンでいっぱいにしてください。どうしても赤ちゃん妊娠したいんです。だからオメガ排卵期中に、こんないやらしいことをしているんです。ユエの卵子全部使ってください。中出しありがとうごさいます。肉便器まんこのご使用ありがとうございます。犯していただき、ありがとうございます。」    正直僕は、ナカに出されるたびに泣きそうなほど不安になっているのだが、これらを笑顔で言わなければならない。――とはいえ…ケグリ氏は、今のところ僕を妊娠させるつもりはないらしい。    そのため、毎月分きちんと避妊薬を用意してくれている。正直、それは本当に助かっている。    そうでなければ、僕は何度妊娠してしまったことかわからない。――毎日毎日、毎日毎日、毎日毎日犯され、膣内に収まりきらないほどの精液を注ぎ込まれている僕は、“オメガ排卵期”という妊娠確実な期間にさえ、あまたの男に犯されてナカに出され、――いや…妊娠なんかしなくても、もう堕ちるところまで堕ちた性奴隷の僕の体は、だからといってももう決して綺麗なものではないのだが。  ていうか…避妊薬を飲めば飲むほど、僕がノダガワ家の人々の性奴隷でいなきゃならない期間はどんどん延長されてゆくし、…どうせいずれ――孕ませられるんだろうし。    なんのために、妊娠しないのかももはや――最近、よくわからなくなってきてはいるのだ。  下手したら僕は、…このままじゃ誰が父親かもわからない子供を、いたずらに妊娠させられるかもしれない。  あの乱交パーティーで、いつケグリ氏に「今回は避妊薬無しだ。孕め」と言われるか――きっと、いつか僕はご主人様にそういった命令をされる。…そう恐怖心と共に予想している僕だ。      まあ、どうせ思い通りにならなかった僕への当て付けだろうが、もちろん僕が、ソンジュさんに言い淀んでいた理由は、それが気がかりだ、ということでは決してない…――正直辞められるものなら、今すぐにでも辞めたいくらいなのだから。      ――『KAWA's』にしろ、『AWAit』にしろ。           

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