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                   とは、いえ――。  悪い側面ばかりをフォーカスされがちなオメガ排卵期だが、実はメリットも存在している。  そのメリットとは――オメガ排卵期を迎えたオメガの体は血流がよくなり、また新陳代謝がよく働いて、体の全細胞が活性化され、クレンズされる。    すると肌艶が良くなったり、髪や爪がしっかりとして健康的になる、若々しい容姿をキープすることができるなどの外見的なメリットがあるほか、健康的で無理のないダイエットにもなり、内臓機能におけるリセットと活性化などの健康的メリットもあるし、内面的にも最中の高揚感、多幸感を言い換えれば幸せな気持ちになっているという、それは、ある意味では精神的メリットでもある。――他種族の女性は、月経前にニキビができてしまう、イライラしてしまうなどで悩んでいる人も多いそうだが、オメガ属はその逆なのである。    また、オメガ排卵期を終えたオメガの幸福感はじわじわと四日ほど続くと言われており、すっきり感がある、頭がよく冴えるといったメリットも存在しているため、オメガは意外と慢性的な()()にはなりにくい、との研究結果もあるのだ(ただし、もちろん辛い環境下に置かれているオメガはこの限りではない)。    つまり――このオメガ排卵期は、オメガにとってはわりと健康にも重要な生理機能なのだ。  それに…社会生活を送るにおいて、いまや抑制剤というものがある。――それがあれば、いくら排卵している状態であろうとも、ほぼ普段通りの状態となれるのだ。    そうなれば、オメガ属はもっと、社会進出をしても許されるべきなんじゃないのか。――他種族が思っているよりも、僕らオメガ属は馬鹿じゃない。…もっと色んなことができるはすだ。  いまやもう抑制剤があれば、世の中の人に迷惑だって、ほとんどかけないはずなのだ。    それなのに、僕らオメガ属の社会のイメージは…――。  僕たちオメガ属は、このオメガ排卵期のせいで、普遍的に()()()()()()とされる職種に就きにくいのだ。  というのは、そもそもオメガ排卵期中のオメガ属は、どうしてもぼんやりしていて動きも鈍く実務能力が下がってしまうし、何よりその期間中はフェロモンを香らせてしまうなど、そうしたさまざまな理由を複合して、他の種族に迷惑をかけるもの、と想定されてしまっている。    ならその期間を休みにするか、というのも結局、現実的ではない。――そうしてしまえばつまりオメガは、一ヶ月のうち一週間は必ず休暇を取らなければならなくなるわけだ。  しかもこのヤマトには、労働者は一週間のうち、最低一日は休暇を設けなければならない、という法律もあるため、僕たちオメガがたとえどれほどきちんと働きたくとも、単純計算で月に二十一日ほどしか働けないとされる。    それも優秀で、少数でありながらも社会に有用なアルファならばともかく――法律上致し方ないところもあり、実際アルファの“月一狼化”による一週間の休暇は社会的にも許されている――、まさか特別能力に秀でていると決まっているでもない、特別影響力があるわけでもない、その上オメガ排卵期のたんこぶ付き…そんなオメガ属を正社員にする企業なんてない、という捉え方を社会にされているのが僕らの現状なのだ。    それどころか、アルバイトやパートにしたってそのオメガ排卵期がネックとなってしまうのだから、僕らの働き口というのはいよいよ狭まっている。     

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