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             一転。  ソンジュさんは膝頭を僕へ向けて、真剣な顔を伏せると――ベージュのトレンチコートの懐から、…スッと一枚の紙を取り出す。   「…さて、ユンファさん。――どうか、これを見てくださいませんか。」   「……、は、はい…、…」    さっきの…「やっと見つけた」は何だったんだ?  まさか僕の幻覚か…? そこまで僕、精神をやられてしまったのだろうか――いや、その実僕は一応、自分が今情緒不安定であることは自覚しているのだ。    ただ…幻覚なんて、変な薬を飲まされて、意識がもうろうとしているとき以外――。    僕はいぶかしく思いつつも、ソンジュさんが差し出してくるその白い紙を――両手で受け取り、そしてその、四つに折りたたまれた白い紙を、開いて見てみる。   「………、…」    なになに…――『DNA 伴侶鑑定……』     「…ふふ…、ユンファさん、ねえ…どうです…?」     『 DNA 伴侶鑑定結果報告書 』     「……、…、…」    じわりじわりと、僕の目が見開かれてゆく。――うそ嘘うそ嘘うそ嘘、…っありえない、     『 クジョウ・ヲク・ソンジュ α・男 検体ID――   ツキシタ・ヤガキ・ユンファ Ω・男 検体ID――』      僕はいろいろとすっとばし、――結果を見る。       『 結果:クジョウ・ヲク・ソンジュは、ツキシタ・ヤガキ・ユンファと生物学上最も優秀な伴侶として排除されません。  DNA一致率:99.999999%  従って被験者同士は、最も優秀なつがいであると判断されます。 以上。』       「………………」    逆に…驚きすぎると、さーーーっと何もなくなってしまうものらしい。     「…クククッ…――どうですかユンファさん。…ねえ、()()()()()()、でした…?」   「…ぃゃ……、は…?」    じゃあ、…なにか。  僕は、この楽しげしたりなニヤニヤソンジュさんの――“運命のつがい”、だってのか…?               つづく

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