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左からモウラ、ケグリ氏、ズテジ氏とステージ上に上がって立っている。――モウラとズテジ氏は180センチ以上あるために、167センチのケグリ氏がとても小さく見えるが…その印象は今、ケグリ氏が怯えて体を小さくしているという理由もあるのかもしれない。
そしてソンジュさんは、そのステージの真ん前まで僕の腰を抱いたまま誘導し――それから改めて、ステージに並び立ったその三人へと、冷ややかな声で。
「さあ、SHOW TIMEです。――どうぞ。…全員そこに土下座して、謝りなさい。…」
「…っは? ふざけんなよお前…」
「いや、てかアンタ誰だよ、何なんだよ…」
ソンジュさんへと凄むズテジ氏、不満を隠しもしないモウラ。――しかしケグリ氏だけは、
「やめんかお前たち! いいから従え、…」
そう、今にも泣き出しそうな声で叫んだ。
ケグリ氏に振り返る両脇の彼らは、困惑よりも理不尽なこの展開への不満を、ケグリ氏に向けている。
「…はあ?」
「…何だよ親父、こんなヤツに何…」
「い、いいから、…この方は、九条ヲク家の方なんだ」
しかし、ケグリ氏がそう言うと――モウラとズテジ氏は呆然として固まった。…チラリ、ソンジュさんの顔を窺うモウラは、…さあっと青ざめる。
ただズテジ氏は僕を見て、重たい一重まぶたのその目を怒りと、不満に鋭くしたのだ。
「おい…じゃあなんでそ の 肉 便 器 はそっちに居るんだよ」
するとソンジュさんは、ククク…と喉の奥で愉快そうに笑い、改めて僕の腰を抱き寄せてくる。
「…おや、このオ ス 豚 はまだおわかりじゃないようだ。――お前は、今から。そ の 肉 便 器 に 。…土下座し、謝罪をするのです…」
「……、…」
え、と僕は隣のソンジュさんに振り返った。
彼の端正な横顔は蔑みの笑みを浮かべており、またサングラスの下の目は、ぴっちり平然と閉ざされていた。
「…っはあ? ふざけんじゃねぇよ、誰がそんなこと…」
「……っ申し訳ありませんでした!」
ズテジ氏が今にも殴りかかろうという勢いで僕に、ソンジュさんに凄んだ瞬間――怒りと憎しみに顔を醜く歪ませながらも、…ケグリ氏はバッと、その場に土下座した。
「………、…」
ズテジ氏は、父であるケグリ氏がそうして土下座すると、…目を瞠ってその人の大柄な背中を見下ろし、ショックそうに固まった。
「…おま、お前たちも、早く、…」
「…………」
「…………」
怯えた震え声で土下座を促す父親――その惨めな姿を目にして、呆然としている二人。
しかしややあって…この場の恐ろしさを読んだモウラも、不満げな顔をしながらゆっくりと膝を折り――その場に荒い所作ながらも、土下座した。
取り残されたズテジ氏は、みるみる怒りに顔を真っ赤にして、ソンジュさんを睨み付け――ズカズカとこちらへ来る。…するとソンジュさんは、僕のことを腕で後ろに下げた。
ソンジュさんの胸ぐらを掴み、「おいっ」と彼に顔を間近に寄せて威嚇するズテジ氏。――ズテジ氏は太っている上、背も僕より数センチ高いのだが、…それでもソンジュさんのほうがいくらか背が高い。
とはいえ、細身のソンジュさんとこの太ったズテジ氏では、ソンジュさんは少し小さく見える。
「……っおい、お前…九条だかなんだか知らねえけどな、調子こいてんじゃねえぞ、おい」
「…ふふふ、醜いオス豚の臭 え息かけんなよ…」
そうして胸ぐらを掴まれているソンジュさんだが、かなり余裕たっぷりに取り澄ましている。――ズテジ氏の後ろ、ステージに土下座したままのケグリ氏は「やめろズテジ、やめろ、やめてくれ」と焦り、泣いているような声で制止しようとしているが。
「…っ! お前ぶっ殺すぞおいっ! おい、…」
「できるもんならやってみろ」
巻舌で威圧するように大声を出したズテジ氏にも、ソンジュさんは煽るように、そう小さな声で言った。――すると怒りが頂点に達したらしいズテジ氏は、ソンジュさんの胸ぐらをグッと引いて、それから投げ飛ばし。
「……っ!!」
ズテジ氏は、ソンジュさんの顔を目掛けて、拳を振りかざした。
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