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              「………、…」    それにしても…意外だ。  ピンク色のいちごミルクを飲んでいる、鋭く整った横顔。  てっきりコーヒーだとか、あるいは酒にしても、カクテルやウィスキーロックを舐めるように飲んでいるイメージのあるソンジュさんが――甘いいちごミルクのペットボトルを片手に、今もそれの口をその赤い唇に押し当てて傾け、飲んでいる。   「…いちごミルク…飲むんですね、ソンジュさん」    出し抜けに僕は聞いてしまった。――しかも、スーパーで税抜き百円程度の、チープな甘ったるいいちごミルクだ。   「…ん…? ええ。甘いもの、好きなんです。」    意外でしょう、というようでもなく平然と答えたソンジュさんは、――「一口飲みますか」と僕に、そのいちごミルクのペットボトルを差し出してきた。   「あ、いいえ。すみません、物欲しそうでしたか」   「いいえ。そうではなく…、…」    ソンジュさんは目線を伏せ、また一口いちごミルクを口に含んだ。――そして僕にその顔を向けると、…く、と僕の顎を指の側面で軽く上げ、傾けた顔を寄せてくる。   「………、…」    口移しされるようだ、と気が付いていた僕はそっと目をつむり――予想通り…ハリのあるソンジュさんの唇が、僕の唇にむちゅ、と押し付けられたとき、…僕は、全てを受け入れるように唇を開いた。  まだ冷たいが、冴えた冷たさではないいちごミルクが、とろりと僕の口の中へ入ってくる。――ミルクの甘みが強く、いちごのふくよかな香りは人工的で、…ただ甘さは砂糖的に、かなり際立っている。   「……ん、ぅ……」    僕の口の中に入ってきたいちごミルクを喉の奥へ送り込む暇もなく、ソンジュさんは僕の唇をまったりと食んできながら、いちごミルクを僕の舌に絡み付かせるように、そのザラついた舌を絡ませてくる。――水筒のフタを持っている僕の指が震えている。  飲み込もうとしてはみるが、舌を絡めとられているばかりに上手くできない。――口の端から垂れてしまった僕の唾液といちごミルクが、かゆいようなくすぐったさを僕の顎に感じさせる。   「…んっ…、…っんク、……っはぁ、」    それでもなんとか、口の中のまろやかな甘みをほとんどを飲み込めた僕は、息を取り込みながらもそっと目を開けた。――ソンジュさんは、少しいやらしい目をして僕を見ていた。   「…美味しかったですか…?」   「はぁ、…はい、いちごミルクも…ん、美味し、かったです…」    僕の顎に垂れた唾液やいちごミルクを、ペロペロ舐め取ってくるソンジュさんの全てに、正直ムラムラしてきてしまう。――ただ、僕はソンジュさんから顔をそむけるように、うつむいた。  またさっきおかわりをもらったミルクティーを、ごまかすためにぐうっと飲み干す。       

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