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44※微

              「これは失礼」と手を引いたソンジュさんに、僕は手に持っていた白いローブ――柔らかい艶があるため、おそらくはシルク――を背に羽織る。    と…――後ろから。   「――…ぁ、……」    後ろから、ソンジュさんが僕を抱き締めてきた。  かあ、と耳と頬が熱くなり、僕は顔を伏せる。――違うのだ、キュンとしたのは確かにそうなんだが、…僕は何も、抱き締められただけで照れてしまったわけではない。  ぐり、と僕のお尻に彼の勃起が当たっているから、ドキ、として顔が熱くなったのだ。   「ふふ……、…」    ソンジュさんは僕のえり足にキスをして、僕の頬を押して横を向かせると、僕の唇を奪ってきた。   「……ん…、…」    やめて、ほしい…――いや、もしかしてやっぱり、このまま…? いや、我慢はするつもりだ。…そりゃあせめてシャワー浴びないと、僕の体の、ナカに…汗もかいているし、…でも、…もうよくわからないが、頭がぽーっとしてくる。  まだ冷え切っていない僕の体の火が、また燃え盛りそうになる。――やわやわと唇を食まれる。…何度か僕もそのように返したが、…裏手で彼のソコを軽く押して示し、僕は横を向いたまま俯いた。   「…当たっ…てます、ソンジュさん…――あの、シャワー浴びてから…、…」    僕がやや上、横目に瞳を動かして窺うと、ソンジュさんはハッとして頬を赤らめる。   「…あっこれは失礼しました、――はは…ユンファさん、こちらを向いてください」   「…ぁ、はい…」    僕は言われたとおりに体を返し、ソンジュさんと向き合った。――すると彼はふっと下を見て、素早くローブの腰紐を掴むと、…顔を上へ向けた。僕の体を見ないようにしているらしい。   「………、…」    僕の体を見たくないのだろうか…汚いから、――いや、我慢できなくなるから、か。…僕にしてみれば、今すぐにでも…つまり、我慢なんかしなくても構わないのだが。    そもそも僕はもう、ソンジュさんのものだ。    いや、どう言ったらいいものか…まあ、少なくとも僕はソンジュさんの…――ソンジュさんだけの性奴隷になる、と今しがた、誓わされたばかりなのだ。  好きにしていいというか、むしろ…――好きにされたい、と…僕の体は、ソンジュさんに目を見つめられる、ただそれだけでもう、すっかり力が入らなくなってしまうというのに。   「…いやぁ…ユンファさんのお体は本当に美しいな、魅惑的で、とても妖艶だ…――ふふ、俺、うっかり理性を失いそうです…」    そう、自分に呆れたような笑みを浮かべて言いながらソンジュさんは、僕の腰の前でローブの腰紐をキュッキュッと結び――蝶結びにする。    と…またふっと顔を下げて、ローブの合わせを締めてゆく。――僕の胸元が開いていたからだろう。  そしてソンジュさんは、僕の首元――先ほど僕にはめた、黒い十字架付きの首輪に目線を伏せ、…それに両手を伸ばす。  そしてそれをカチャリ、カチャリと外すと――ソンジュさんは、「ベッドに座って」   「……? はい…」    ソンジュさんは外した首輪を、ベッドサイドテーブルへ置いている。――一方の僕は、言われた通りベッドへ座った。  すると彼、僕の脚を無理やり――ガバリと開いて、…えっと僕が驚いている間にも、そこに座る。   「……ぁ、……」   「ふふ…」    そしてソンジュさんは、ずるるっと強い力で無理やり僕の下着を脱がし(とはいえ、僕は抵抗なんかしなかった、むしろ協力的だった…期待しているからだ)、ぽいっと捨て――僕はカアッと鎖骨から上が熱くなる。   「…ぁ……あの、いや、ソンジュさん…」    遠慮なく、僕の性器をジロジロ見てくるソンジュさんは、ニヤニヤしている。   「…ふふ…思っていたよりびしょびしょだな…」    ぬる…と、僕の膣口に指先を這わせてきた彼に、ひくん、と僕の内ももが跳ねる。――するとソンジュさんは、僕の内ももに口付けてくる。   「……っ♡」    そこに垂れた愛液を、れー…と、熱い舌全体で舐め取られている。…「甘くて美味しいよ…」内ももに響くソンジュさんの甘い声、粟立つ内ももの皮膚を撫でられ、唇でちゅぷちゅぷと優しく食まれてしまうと、――僕自身がむくり、ピク、ピクンと反応してしまう。  ソンジュさんは、…チクン、と――僕の内ももに、キスマークをつけてきた。…僕は声を出さないようにするのが精一杯だ。   「……っ♡ ふ…っ♡」    チクン…チクン…と、いくつも、いくつも、両方の内ももに――その度に僕のお尻が跳ねて、腰がくねってしまう。…するとソンジュさんは、両方の親指でくぱり…僕の膣口を開いてくる。   「…垂れてしまうくらいなら、もったいないし…俺が全部舐め取ってあげるね…」   「…へ、…ぁ、♡」    ちろ、と舐められた僕の膣口に、僕は焦る。   「…駄目、舐めるのは駄目です、ぅ、♡ く…っん…♡ 駄目、ソンジュさ、…」    ソンジュさんに、ペロペロとそのまま、入り口から溢れてくる愛液を舐め取られる。…ソコをペロペロされてしまうと、正直感じてビクビクしてしまうのだが、…僕のナカにある――ケグリ氏の、精液が。   「…汚いから、まだナカに、け、ケグリ氏の、…ザーメンが…ぁん、♡ …〜〜ッ♡♡」    あん、なんて声が、…こう言うと逆に、ソンジュさんは僕のナカへとその舌を、にゅぷぷぷ…と挿入してきてしまったのだ。   「ぁぁだめぇ…♡ やだ、ん、♡ だめ、舐めちゃいやだ、ほんとに汚い、そん、…んん…っ♡」    くちゅくちゅとソンジュさんの長い舌が、僕のドーナツ状の前立腺まで届き、ナカを舐め回してくる。――僕はソンジュさんを止めようと、その人の髪を掴む。…駄目、だめ、と脚を閉ざそうとするが、とんとんと彼の二の腕を脚で弱々しく叩いているようにしかならない。  それどころか、前立腺をチロチロと擽るように舐められると、…僕、――駄目、…眉が寄り、自然と目を瞑る僕は、   「…ぁ…っ♡ はぁ、だめ…ぃ、イっちゃぅ……」    声出したくないのに、出ちゃ…こみ上げてくる…溜まってきてしまう…快感が…――僕がぽうっとして呟くと、…ソンジュさんはもっとチロチロと、舌の動きを速めた。   「…ひ…ン♡ …ぅ、くふ、♡ …〜〜〜ッ♡♡♡」    イっちゃうイっちゃうイっちゃう…――っ!     「……っはぁ……」   「……っ?」    しかし…――ソンジュさんは、あともう少しのところで、にゅるんと舌を引き抜いた。  僕…いま…イきそうで、…――ソンジュさんは僕の膣口をペロ、ペロ、とすると「不思議だな…舐めても舐めても甘い蜜が溢れてくる…、まるで美酒の泉だが、これじゃキリがないね…」――憎らしいくらいとぼけたこと言って…、それからすっと立ち上がり、スラックスのポケットをまさぐりながら、…はぁ、はぁとしながらも呆然としている僕の隣へ、ニヤニヤといたずらな笑みを浮かべて腰掛けてくる。   「……ふふふ…あぁ…そういえばさっき、僕に返せるものなんか、なんて()()()()()()()()をおっしゃっていましたが、ユンファさん……しかし、そうですね。今、強いて俺が、ユンファさんにしていただきたいこと…――それは…」   「……ぁ…は、はい…、…はい…?」    もう、本当になんだってする、と僕はソンジュさんに何度も頷いた。――というか…終わり…?   「――これを…着けてくださいませんか。…」   「……?」    何を、と僕はとろんとした意識でソンジュさんを見つめる。…すると彼は僕の目を見るなり、ニヤリと妖しい笑みを浮かべて目線を伏せ――僕はその目線の先を見る。    ソンジュさんは、その手に――指輪の箱のような、グレーの小さな箱を持っていた。   「……、……」    それには緊張し、ゴクリと喉を鳴らす僕である。  もしかして、これがさっき車の中で言っていた――(高い)結婚指輪か…?      まさか、僕にしてもらいたいことって――結婚…?           

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