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「……ん…? ふふふ…」
「………、…」
違う。待て待て待て…――おいおい、僕は馬鹿だ。
我ながら、頭を抱えそうになるほどの大馬鹿者だ。
なぜか今、ソンジュさんのその言葉に「あぁ、そりゃあそうですよ、ソンジュさんも喉乾いてましたよね。喉乾いていると、ただの水でも甘く感じて美味しいですよね」なんて、…うっかり同調しかけた。
いや、たしかに冷たいミネラルウォーターは、汗をかいて熱くなった体に、口に、舌に、喉に染み渡るようで、甘い気さえしたものだ。――あの透き通るような清涼感、本当に最高だ。
いうなれば、スポーツのあとのミネラルウォーターという感じだった。…まあ…セックスもある意味でスポーツみたいなものか。
そうだ…僕はその、自分の実体験を元にした受け答えをしかけたのだ――どうもまだ僕、頭がぼーっとしているらしい――しかし今この人、
「……、…、…」
僕 の 口 が 触 れ た ペットボトルで飲むと、ただの水が桃の味になったとかなんだとか、変態じみた意味で(ただの水が特別)美味しいと言ったんだろうが。――呆れるくらいだ…本当にソンジュさん、また性懲りもなくセクハラ発言である。
そういえば昔、桃味というかそういうコンセプトのミネラルウォーターあったが、いやいや、…やっぱり僕は、頭がぼーっとしている。
気を付けないと……この人、顔は物凄い美形のくせに、わりと変態なんだから…――。
「…いやぁ、また念願が叶いました。――ユンファさんとの、間 接 キス……」
「……、ぇ…関 節 ……?」
何、関 節 キ ス って…――。
いや、あーつまり、セックスのことか…?
股関節同士をぶつけ合うことを、関 節 キ ス だなんて…どこまでロマンチストなんだろうか、ソンジュさん、本当に、度々驚かされる。――またおしゃれな言い回しでいうものだ、セックスなんかのことを、“関節キス”だと?
「……はぁ…、……」
僕は本当に、彼のロマンチックに着いていけない。
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