332 / 689

30

                  「…使えるものは、()()()()()()()()をも使え。といったところでしょうか。」    したりと笑いながらソンジュさんは、その場に伏せの体勢を取る。…そして僕のことを、そのつぶらな水色の瞳で見上げつつ、ブンブンとふさふさの金色の尻尾を振っている。――つまり、“狼化”した自分の体を使って、僕のことを癒やしてくださるというのだろう。――さながらアニマルセラピーのように。   「どうぞユンファさん。…俺の好きなところを、お好きなように撫でてください。」   「……、ふふ、ご自分で……」    おかしいやら可愛いやらで、僕は思わず笑ってしまった。…わんこだ。――まるでわんこと話している気分だ。   「…ええ、どうぞ? まずお気持ちを落ち着けなくては、ちゃんと話もできないでしょうから。」   「……いいんですか…、じゃあ、すみません…、……」    言いながら僕は、もうすでに手を伸ばしている。  ソンジュさんの(わんこ的な)可愛さにメロメロになっている僕は、控えめにソンジュさんの頭を、なで、なで。…そのピンっと立った三角の耳の間、狭い頭を撫でさせてもらう。   「…ふふ……」    自然と目が細まり、笑みが浮かぶ。  額から頭は毛が太く短く、ゴワゴワしているがもちろんあたたかくて、…わんこ、過ぎる。   「…どうです…癒やされます?」   「…ええ、とても…、……」        だが、こうしていると…――()()()()()しまう。           

ともだちにシェアしよう!