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                  「俺の話をきちんと聞いて…そのあとで貴方が、()()()()とおっしゃられるなら――そのときは、…いいでしょう。俺はユンファさんの、その提案を呑みます。(ただ)し、俺のほうからも契約内容を付け加えさせていただきます。」    自分の話も聞いてくれ、というソンジュさんは、いまだ張り詰めて鋭くなった目で、僕のことを見てくる。   「…はい」   「…ユンファさんがこの“恋人契約”、及び“婚姻契約”の最中に、俺と()()()()()()()()をしたくなった場合――貴方は、それをすぐに俺へと言い出さなければならない。」   「……、わかりました。…」    僕はため息をこらえて頷いた。  そもそもなんだが、僕が一方的に決めてよい、という契約ではない。――双方の合意の元、という旨があの契約書にあった以上、僕はソンジュさんのそれを受け入れる他にない。…というか何より、正直な予想として、するとソンジュさんは例え()()()()()使()()()()()、僕に()()()()()を吐かせようとするような気はするんだが、ここまでに僕は一方的な提案を展開してしまった以上、それに頷く他にはないのだ。  また僕は、このあとの彼の話もきちんと聞くべきだ。  僕はまたミルクティーをぼうっと見下ろす。   「…どうも、ではそのように。…さて、本題に移るといたしましょうか。――申し訳ありません。…俺は先ほど、()()()()をうっかり説明し忘れていました。…」   「……ええ」    僕がつっと横目に見たソンジュさんは、何か思案顔で目線を伏せていた。――僕もまた目線をどこともなく伏せる。   「…ユンファさんは俺の両親に、俺たちのことが認められないんじゃないか…――そうお考えだからこそ、今のような提案をなさったのだと、俺は推察しています。」   「はい」    その通りだ。  僕はソンジュさんの言葉に耳を澄ませる――見下ろしている優しい色のミルクティーは、おそらくもう冷えてしまっている。   「しかし――()()()()()()()()()()。」    そう強い調子で言い切り、ソンジュさんはそのままの調子で続けてゆく。   「つまり俺は、自分の両親に、貴方との結婚を認めさせるための計画を練った上で、ユンファさんに求婚をしているのですよ。――いえそれどころか、世間にも俺たちのことを認めさせることができる、とまで踏んでいます。…」   「………、…」    世間にも…――。  いや、そう簡単に認められるはずがない。――しかし僕はそう思うが、ソンジュさんはやけに自信有りげだ。そして彼は、何かしらの根拠なくしてこのようなことを言う人でもない。…聞こう。   「…俺の両親を説得するためのポイントは、三つほどあります。――まず一つに、ユンファさんは五条ヲク家の血を引いている。…確かに貴方はオメガ属として生まれ、その名に五条ヲクの名を冠してはいない。…しかし、血統主義の条ヲク家さえも恥じることのない血が、貴方の体には確実に流れているのです。」   「…………」    ふ、と思う。  もしかして、と。  ソンジュさんはもしかして――。   「…つまりユンファさんは、下手にヲク関連の家に生まれたオメガよりもよほど、確実に()()()()を受け継いでいる。――貴方なら当然ご存知でしょうが、条ヲク家とされる家は、このヤマトで暮らしているミコトアルファたちの元祖たる家系です。」   「……、…」    もしかしてソンジュさんは――僕と結婚をするために――僕が五条ヲク家に生まれた、ということを入念にリサーチしていたんじゃないのか。   「すなわち、五条ヲク家に生まれたユンファさんは、ヲクがついていても条のついていない家や、ヲク家に関連している家々…それらの上に立つ血統を、お持ちなのです。――これが何を意味するか、といいますと…まず貴方には、俺と結婚をするにおいて()()()()()()()()、ということです。」   「…………」    ソンジュさんは、()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということを示す――『出生証明』を持っていると。…僕にそれを見せることもできる、とソンジュさんは、先ほど言っていた。       

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