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                    「…ちょっと駄目だ。素直すぎますね…危ないな」   「……?」    僕は脚を開いたが、するとソンジュさんは何か、悩ましげにそんなことを言うのだ。   「権威ある人に容易く襲われるタイプとでもいいますか…、正直、尊敬している人ならば何をされても構わない、という心理になっていませんか」   「……え…?」    とか言いつつ、僕をそうっとやさしく、ふかふかのマットの上に押し倒したソンジュさんは、僕のパジャマのボタンをポチポチ開けてゆく。   「まあもちろん()()()()けれど」   「…あ…あの…も、もしかして……せ、セックス…」    するんだろうか、なんて、馬鹿な思考が今やっとよぎる。   「…こうなってしないなんてこと、ありますか」   「……、それは、そうですよね……ふっ…♡」    くに、と乳首の先を押し倒され、そのままくにくにと捏ね回されると、乳首の先にぞくぞくぞく…とした、甘やかな電流が走る。   「……っ♡ ふ、…ん…♡」   「可愛い……」    ソンジュさんは、僕の首筋をペロ、ペロと緩慢に、熱くぬるぬるに濡れた舌で舐めてきながら――乳首をやさしく捏ね回し、ぴんぴんと弾いてくる。   「…ぁ…♡ …〜〜っ♡♡」    僕は思わず大きく声が出そうになり、唇を引き結びながらこてん、顔を横に倒す。   「俺のユメミ…、ずっとこうしたかった…――あの日からずっと…十一年前のあの日からずっと俺は、貴方に片想いをし続けてきたんだよ、ユンファ……」   「…はぁ…〜〜っ♡♡」    首筋に触れたソンジュさんの唇がそう動き、彼の甘くまったりとした低い声が、僕の首筋の薄い皮膚を小刻みに振動させる。   「ぼ、僕、…まさか…ユメミの……」   「その通りです。…()()()()()()()()()()()()()()()()ですよ…――ふ、クク…俺の身勝手な妄想が、まさか、俺の人生をここまで変えるとはね…。いや、ユンファさん…いっそ貴方が、俺の人生を変えたんだ……」   「……、…」    やっぱり、という気持ちと――なんとなく面はゆいような気持ちで、だが、とにかく胸がいっぱいだ。  まだ正直、どう捉え、どのように思えばよいのかもわからないが…今ふっとなぜか思ったのは、母さんの女の勘って、凄いな、ということだった。       

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