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さあステップその1――まずは飲み物が必要だ。
……というよりか、俺がそれに思い至るべきタイミングとはもうすでに過ぎている。
つまり本来であれば、いま俺たちの目の前にあるこのローテーブルにはもうすでに、すべからくこのホテルのミニバーから取ってきた、あるいはルームサービスで頼んだ、いずれにしても美味しい飲み物があって然 るべきであった。
ところが色々あって(本当に色々あってね…)、俺はうっかりそのことを失念してしまっていた。
大体俺はあの優雅な金魚たちを眺めたあと、ユンファさんを一人その場に残してこのソファに掛けてしまったばかりか……これで後悔はしているのだ。
そもそも今宵というのは、それこそ俺がつとに妄s…願ってきた初恋の美男子、月下 ・夜伽 ・曇華 との念願の「初デート」の夜と考えて差し支えない。
そこで俺が思うあのあとの最適解とはこうだった。
可愛らしく遊泳していた金魚たちを眺めたあと、俺は、まずユンファさんをスマートにエスコートしながらミニバーへ行く。
そしてたどり着いたミニバーでは彼の好きなドリンクを選んでもらい、彼の選んだドリンクは俺が持って、優雅に二人でソファに腰掛け……それから俺たちはお互いの瞳を見つめあい、親睦を深めるための楽しいお喋 りをする――と、俺の理想としてはこうだった。
だのに俺ときたら――ユンファさんを置いてこのソファに掛けたなり、大股開きの貧乏ゆすりと彼とのデート中に不機嫌そうにイライラとし、果てには「仕事でストレスがあって」とデート中に(嘘とはいえ)仕事を持ち出す始末、そのうえあのようなだらしのない粗野な座り方、大股開きで二人がけのソファに座ったあの傲然 とした俺の座り方、あの俺のユンファさんへの気づかいのない尊大な態度、…そして今もなお俺たちの手元にはドリンクの一杯も無し…これは我ながら酷い。
デート中、そのような相手に失望しない人などいるだろうか?
……いや。即刻帰られても文句はいえないよ。あれはフラれる口実にだってなり得るほどの醜態だった。まあ俺は今しがた、もう既にユンファさんにフられたばかりだけれど。
ということで――俺の名誉挽回も含めて、ここはまずユンファさんと飲み物を取りにゆこうか。
「…貴方もきっと喉がお渇きでしょう…、とりあえず何か飲み物でも取ってこようかと思うのですが…――勿論、貴方の分も俺が取ってきてあげるね…、何がいい…?」
と俺は隣のユンファさんに優しく尋ねた。
しかしもちろん、俺は彼がミニバーに何があるかなど知らないことをわかっていてこう尋ねている。
……するとユンファさんは俯いたまま、何かしらその伏せた目で考え事をしていたらしいが、「…え…?」と俺に振り向いた。
「…飲み物、ですか…、えっと……」
とユンファさんが困惑げに表情を曇らせ、
「…では、僕はお水で」
……などと俺の想定外の返答をする。
「……、…え」
ここで俺の想定外のことが起こった。
……俺の計画としてはこうだった。
まず俺が『喉が渇いたな、俺が飲み物を取りに行くよ。何がいい?』とユンファさんに聞く。
彼は『えっと…(何がいいと言われても、何があるか知らないから何とも言えないな)』と困惑する。ここまではまあ、まあ俺の想定通りだったといってもいい。
……ここからは(早速頓挫 した)俺の計画になるが、『何があるんですか…?』などとユンファさんは俺に聞いてくる。
そこで俺は颯爽と立ち上がり、『あぁそういえば、貴方はミニバーに何があるか知らないのだったよね』と言い、その次に『じゃあ一緒に見に行こう?』と俺はユンファさんに手を差し伸べる。彼は『はい』と彼が俺の手を取る。
そして自然と俺がユンファさんをエスコートしながら、スマートに二人で飲み物を取りに行く…――。
ちなみに、先ほど俺がなぜわざと「何がいい?」と、ミニバーに何があるかもわからないユンファさんに聞いたかといえば――例えば俺が先ほどの時点で『とりあえず飲み物でも取りに行こうかな。一緒に行こう?』と誘ったなら、ユンファさんは『はい』とでも答えながら即座に立ち上がってしまったことだろう。
しかし、その「一緒に行こう」の前に「何がいい?」と今から取りに行こうという品物について聞けば、彼はあのように「えっと…」と困る。この部屋のミニバーに揃えられているドリンクの種類など彼は知りようもないので、何がよいかと聞かれても選びようがないからだ。
……そしてユンファさんがそうして困っているわずかな隙に俺は立ち上がり、「さあ一緒に行こう」と彼へ手を差し伸べることができる。するとユンファさんの手に触れられるチャン…いや、…要するに、スマートなエスコートの流れには、その彼の揺蕩 うような困惑の間 が必要だった。
……と、俺は考えていたのだがね……早速俺の想定外のことが起こってしまった。
「おみ、お水…? お、お水で…よいのですか…?」
俺は多少やはり狼狽えている。
するとユンファさんが、やつれた困り顔でこう俺に微笑する。
「ええ。僕は全然、水道水で大丈夫です」
「……水道水、ですって…?」
……、このやつれ気味の幸薄げな微笑…お綺麗だ、がしかし…であるからこそ、ここは何とか好きなドリンクを彼に飲んでほしい。望むらくは栄養のあるあの手作りのフルーツジュースあたりがよいだろうが、この際ユンファさんが飲みたいものを飲んでもらえれば俺はそれで満足だ。
俺はユンファさんの気持ちをあの夢のようなミニバーへと向かわせようと、こう慌てて言いつのる。
「しかしこのスイート、ミニバーにあるものは全て無料で御賞味いただけるのです。…」
というのはなかばは嘘である。
確かにあのミニバーには無料のドリンクも豊富だが、一部有料のドリンクもある。しかし全て無料といったほうが、ユンファさんは気兼ねしないで好きなもの好きなだけを選んでくれるだろう、という、これはいわば俺の優しい嘘だ。
「それに、このホテルのレストランのキッチンで手作りされた、特製ジュースも各種豊富に用意されて……」
しかし、俺のこれをほとんど遮るようにユンファさんが、下がり眉で微笑みながらふるふると首を横に振る。
「…いえ…、あの、僕のことはお気になさら…」
俺はそこでさっと立ち上がり、ユンファさんに片手を差し出す。もう強行するしかなさそうだ。
「一緒に見に行きましょう。…さあお手をどうぞ」
「……、…」
しかしユンファさんがふと俺を見上げて、やけに要領を得ないきょとんとした顔をする。
それも俺に「お手をどうぞ」と手を差し伸べられてもなお、彼の黒いスラックスの両ももの中央に、指をかさねて置かれているその生白い両手は微動だにしない。――俺を見上げるユンファさんの切れ長のまぶたがゆっくりとまばたきをし、彼は俺をその不思議そうな薄紫色の瞳で見上げながら、わずかに首をかしげる。
「…手……僕は、どうしたらいいんですか…?」
というユンファさんの薄紫色の瞳はこう訝っている。――『お 手 でもすればいいんだろうか?』
……困ったことに、彼は俺がエスコートをしようとしていることにまるで気が付いていない。
「…そうですね…。ではまず…俺のこの手にどうぞ、貴方のお美しい手をのせてください」
「…こうですか…?」
「……、いえ拳ではなく……」
俺はそっと目を瞑った。
……ユンファさんに差しのべた俺の手のひらにポンとのせられた、彼の五本指がゆるくまとめられた拳……それではまさしく「お手」ではないか。
いや、…そっと目を開けた俺はその場にしゃがみ込み、床に片膝を立てて座る。…あくまでもユンファさんの目線より下にいれば、あるいはエスコートをそれと気が付いてくださるのではないかと思ったのである。
改めて俺はユンファさんをやや見上げ、彼に微笑みかける。
「……はは、可愛い人だ…。しかし出来ましたら、そう…――俺のこの手にどうぞ、貴方の白く長いお指をお掛けくださいませんか」
「……、…」
ユンファさんはぼうっと俺の仮面の顔を見下げてくる。――『つくづく、まるで童話の中の王子様のようなことをしてくる人だな……だが、何故そんなことを…?』
「…ですが、そうすると……その、僕が貴方に、エスコートをされるような形になってしまうかと思って……」
「……、…なるほど……」
俺はまた目を瞑った。
そうなんですけれど……そうなのですユンファさん、俺、誰がどう見てもどう考えても俺は今、貴方をエスコート。しようとしているのです。
……俺はまたそっと目を開けて彼を見上げた。そしてなるべく優しい声を心がけてこう言う。
「…That's right…正 しくその通り。俺は今、貴方をエスコートしようとしているのです。」
と俺が言うと、ユンファさんは驚いて目を丸くする。
「…それは何故ですか?」
「は…、何故…とは…?」
さすがに彼のなぜには俺のなぜも重なる。
しかしユンファさんにしてみれば単純な疑問であるらしく、彼はどこまでも不可思議そうな顔をくっと傾けて俺を見る。
「…ですから…僕はその、貴方にエスコートをされるような身分でもなければ、ましてや女性でもありませんから……」
「それは知っていますが…、いやそうか……」
俺は目を伏せた。
「…なるほど…。……」
俺は一旦ユンファさんへ差しのべた手を引っ込め、その手の親指と人差し指で自分の仮面の顎をつかむ。
確かに――世間一般ではまだ、「エスコートとは女に男がするものだ」という価値観が根強い。
要するにユンファさんもまた、その固定化された男女の図式を基準として訝しがっているのである。
……エスコートをする立場にあるべきは男、そして男にエスコートをされる立場にあるべきは女、……しかしここで一旦、エスコートという行為の本質を整理してみよう。
まずエスコートという行為で一般に思いつきやすい行為をいくつかあげる。
――たとえば自分が扉を先んじて開け、その扉を押さえておき、相手を先に通す。
たとえば相手に安全な歩道側を歩かせ、自分は車道側を歩く。――たとえば着席の折に相手の椅子を自分が引き、相手を座らせてから自分も椅子に座る。
たとえば車に乗車・下車する際、扉の開閉やステップの上り降りに手を貸す…――。
まあこんなところであろうか。
さてこれら行為に共通しているものとは、すなわち愛の奉仕精神――「気遣いの心」である。
つまり本質的なエスコートの意義とは、相手へ自分の敬愛を示すためということ――尊敬するべき相手を慮り、労 い、自分が愛する相手の従者とさえなって、相手が心地よくスムーズに過ごせるようにと究極の、細心の、丹念な心配りをもって相手を扱い、ひいては、それによって相手に自分の愛の大きさを示すためにする行為、それこそがエスコートだということである。
……考えてもみてほしい。――例えばこういった高級ホテルのホテリエたちはみな、コンシェルジュを始めとして、自分の性別がどうであれまた客の性別がどうであれ、そういったエスコートをしてくれるものである。…また俺の(一応)執事であるモグスさんにおいても、あくまでも当然のこととして俺をエスコートしてくれる。
その行為にはもとより女だ男だという分類はない。
では、その「仕事としてのサービス」から出たところのプライベートなエスコートであったとしても、そこに男だ女だというのは必要であろうか?
肝心なのは相手への敬意や敬愛をあらわすために、自分が相手の従者となってもよいとまでの奉仕精神をもってその敬うべき相手に愛を示す、ということなのであって――それをすべきは男、されるべきは女、という固定化された価値観はそもそも間違っている。
当然大切な女性に対して男性がエスコートをする、という行為が間違っているという意味ではない。それはそれで完全に合っている。――しかし、例えば大切な男性に対して女性がエスコートをする、大切な女性に対して女性がエスコートをする、そして大切な男性に対して男性がエスコートをする……。
相手への敬愛の気持ちを表したエスコートという行為、これを簡単にいえば、敬うほど愛する大切な相手を自分の宝物のように大事に扱う(扱いたい)――なぜなら自分にとってその相手はまさに「自分の宝物」だから――という気持ちを示す行為こそがエスコートだということだ。
敬愛の気持ちを抱く、抱かれるに性別は関係ない。
そしてその気持ちを表現するためのエスコートという行為にも、本来ならば性別の分類は必要がない。
性別がどうだとかではなく、人が、愛する大切な人にエスコートをする。たったそれだけのことでよいのではないか――と俺は思う。
つまり俺が何を言いたいか――確かに俺は男だけれど、そしてユンファさんも男だけれど、だから何?
俺の敬うべき美しい王子様を、俺が従者となってまでエスコートをすることに何か問題でもあります? 男が男をエスコートするというのがそんなに不思議ですか、ユンファさん? 貴方は何もわかっていない。
……ということである。
とはいえ……俺は片膝を立てて床に座りこんだままに薄目を開け、伏し目がちにしおらしくしゅんとしてみる。もちろんわざとだ。
「…いえ、申し訳ありません…。もしや俺が貴方を女性扱いをしたように思われたのならば、きっと俺は、貴方の男性としての誇りを傷付けてしまったことでしょう……」
「…えっいえ、全然そういうことではなくて、…」
するとユンファさんは慌ててそれを否定する。
「すみません、女性でもないのに、当然のようにエスコートをお受けする勇気が無かったんです、…それに僕、とても貴方にエスコートをされるような身分ではありませんし…――何よりその…エスコートなんて、誰かにされたことがなくて……」
つと俺が瞳を上げて見やったユンファさんの表情は、困惑に曇り、うつむいていた。
「正直照れ臭いのもそうですが、…どうしたらいいか、わからなかったんです…」
「……なるほど。……」
と俺は優しい重みを含ませた声で言うなり立ち上がった。そして再び彼の隣にそっと腰かける。
「…貴方は正しい…貴方は何も間違っていない。…だけれど、俺の考えも聞いていただけませんか」
はたと俺に振り返ったユンファさんは、「ええ」と健気 な顔をしてコクリと頷く。
「…エスコートという行為の根底にあるものは、要するに愛です。――俺は間違っても貴方を女性扱いした訳ではなく…敬愛する貴方の従者となっても構わないほど、どこまでも貴方に尽くしたいと思うほど、俺は貴方を愛している…――ですから俺は、貴方をエスコートしたかったのです。」
「……、…」
目を瞠 るユンファさんの、ドキッと強く脈動した心音が聞こえた。――俺はやわらかく目を細めて微笑をしながら、彼の無垢な驚きにほの白くなった薄紫色の瞳をながめる。
「確かに世の中では、男性と女性が恋に落ちるという異性愛が基準となっています。…それ故にエスコートという行為もまた、男性が愛する大切な女性にするもの、という認識が普通となっているのでしょう。」
「……、…」
彼の俺の言葉に聞き入っている神妙 な顔が小さく頷いた。
「けれども…愛する男性である貴方を、男である俺がエスコートをする…――その行為は、先ほどにも言った通り…エスコートの根底にある愛に基づいていればこそ、何ら誰にも反論されるべき行為ではない、と、俺はそう考えます。」
「……素敵な…お考えですね……」
とユンファさんは感心してその薄紫色の瞳を輝かせた。まるで清新な価値観に触れたことで、心の曇りを磨きとられたかのように、彼は素直に感心してくれたのである。――その曇華 の名の通りの純白の月下美人、まさに雲心月性 、愛おしい人だ……しかしこういう無垢なところある人ほど、悪い男には騙されやすいのだけれど。
「…ふふ…ありがとうございます。…要するに俺は一人の男として、愛する男性の貴方をエスコートしたいのです。――どうぞescortという言葉の意味通り、今宵はこの俺を常というほど侍 らせ、そして俺に、大切な貴方を護 らせてください…、……」
俺はここで一旦つと目を下げる。
ユンファさんの両ももの中央にのった、その人の手の甲を見たのである。指の背にもう片手の長い指をしとやかに重ねているその生白い手の甲には、青い太い静脈が二本三本張り巡らされている。――またその指先は、形のよい薄桃色の長い大きな爪で被 われているが、可哀想に、その爪の腹には艶がなく、また爪先は切りすぎというほど深爪だ。
それから俺はまた目を上げ、ユンファさんの神妙な薄紫色の瞳を見ながら、再び手のひらをその人へ差し出す。
「ということで――さあ、お手をどうぞ…?」
「……、……」
ふと目を伏せたユンファさんはしかし、俺のその手を眺め下ろしながらまたぼうっとしている。――何かまだ信じられないという気持ちがあるのだ。もはや俺の手を取りたい取りたくないではなく、彼は頭が真っ白になってしまっている。
……ユンファさんは男の自分が男の俺にエスコートを受けるという以前に、それこそついさっきまでは性奴隷として虐げられていた。――つまり今のユンファさんにとっては、こうしたエスコートをされるというのでさえ唐突に訪れた、にわかには信じがたい展開なので、彼は今まるで夢を見ているかのような不思議な感覚がしているのである。
しかしはたとしたユンファさんは、深く俯いた顔をふるふると横に振る。
「……いえあの…ごめんなさい…僕、…僕は、その…貴方のエスコートを受ける権利は……」
「もしその権利とやらが貴方に無いのなら、俺はこの手を貴方に差し伸べることはしません。…むしろ俺のこの手を取る権利は、貴方にしか無いのです。」
「……、…」
「…………」
駄目かな。隣にいたほうがまだ受け入れやすいかと思ったのだが、……俺はおもむろにソファから立ち上がり、またユンファさんの足元に片膝を立てて座った。――彼の伏せられている目線に映るためである。
「…俺が思うに…優しさというものは、人に掛けるだけのものではありません。…誰かに“させてあげる”、優しさを“受け取ってあげる”こともまた、一つの優しさなのです。――ですからどうか、俺の手を取ってくださいませんか」
と俺は改めて、ユンファさんに片手のひらをそっと差し出した。
ふと俺を見下ろした彼の群青色の瞳は、しかし一瞥 ばかりでふと伏せられる。……とはいえ、彼は間もなくおずおずと片手を上げる。恐る恐る、震えているその白い指先が、俺の手のひらにかなり遠慮がちに触れる。
「…ごめん、なさ…」
「ありがとうございます。では参りましょう」
と俺は優しくユンファさんの手をにぎり、その手の甲にもう片手をかぶせ、ゆっくりとその手を引き上げながら立ち上がる。――俺の穏やかな上る動きにつられて立ち上がったユンファさんが、蒼白いその困惑の顔をかあ…とうす赤くする。
そしてユンファさんはふと俯くと、自信なさげに目を伏せた。
「…あの…僕、ごめんなさい、…きっと上手く…」
「ではもっと簡単に言いましょうね」
言いながら俺はするりと彼の肩を抱いた。
――「え…?」と不安げな群青色の瞳が俺を見る。
……俺はその瞳に悠々と微笑した。
「要するに…俺は愛する貴方を、自分のかけがえのない宝物として大事に扱いたいのです。――すると、貴方が上手く俺のエスコートを受けられるか否かというのは最早 存在しない概念であり、貴方が今からするべきこと、それは…――この俺に、俺の大切な宝物として大事に扱われる。それだけです。」
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