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悪夢は狼の目に睨まれては勝てない。
目隠しに目をふさがれた暗闇の中――暗黒に浮かび上がる醜男 の卑劣なニヤけ顔、そのあまりにも悍 ましく醜悪な悪夢という幻想は、
「さあどうですユンファ…、貴方が今ご覧になっていた悪夢は、しかしあくまでも悪夢に過ぎない…――これで、目が醒めましたか……?」
「……、…、…」
夜空に煌 めく無数の星々に囲まれた蒼い満月の下――その美しいタンザナイトの瞳が、青白い光を自ずから放つこの二つの瞳を見とめたなり、たちまち霧散していった…――と、俺の目にはそう見える。
俺は誰? ――ユンファさんはその問いにハッと我にかえった。
俺はケグリなどではない。――ユンファさんは、そのことを思い出した。
しかし、するとユンファさんはまず俺に「ごめんなさい」と謝ってきた。
俺との目合いのさなかに、フラッシュバックを起こしてしまったことに対して――そうした自分を恥じ、またそれによってきっと俺に迷惑をかけてしまった、と――ほとんど怯えながら、何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」と。
そして彼は「僕は大丈夫です」とも繰り返した。
俺はそれを優しく否定した。――「いいえ、貴方は大丈夫ではありません」
大丈夫ではないのですよ…――俺はユンファさんの頭をゆっくりと撫でつづけた。
さなか、時おり彼の唇や頬やにちゅ…と、自分の唇のやわさやぬくもりをもって慰めるだけのキスもした。
そして俺はユンファさんにこう尋ねた。
「まずは気分を落ち着けましょう…、ということで…――ユンファさんの〝本当の恋人〟である俺に…、何か、他にしてほしいことはありますか……?」
すると彼は「あの…」と言ってはその豊満な唇を開閉し、幾度も「あの…あの…」と言おうか言うまいかためらい、…ためらったが――ややあって蚊の鳴くような申し訳なさそうな、…ともすれば俺に聞こえなかったと言われたほうが気が楽だ、と、あえて最小限とまで抑えたようなかすかな声量で、
「あ、あの…それじゃあ、その…、…も、もしお嫌で、なければ…、あの…無理なら……無理なら、全然…こんなの、わ、我儘 …ですが…その……」
と…そして彼はそのまま、このような「わがまま」を言った。
「手…、…手を…繋いでいて、いただけませんか…、少しの、…ほんの少しの…間だけ……」
「勿論。……」
俺はすぐさま快諾した。
そしてユンファさんの手を取り、まずはその手にはめられたままの黒い革手袋を、するりとおもむろに脱がせて――いっそのことだ、と両手のそれを脱がせて――、それから彼の、片手の五本の指と指を組みあわせて手を繋いだ。
……するとユンファさんは「は…」と、ときめきと要求の通った驚きのかすかな吐息をもらし、それからふと、その愛らしいぽってりとした唇に微笑をうかべた。
「ごめん、なさい…、あ…ありがとう、ございます…、……ふふ、……」
そしてそう彼は、俺の手指の感触を噛みしめて大そう喜んだのである。
……少しのあいだだけ手を繋いでいてほしい――たったそれだけのことを無理も承知なわがままと思い込み、それを言うにも幾度とない逡巡をしていたユンファさんに、その実俺は、ひそかにケグリへのいやまさる怨憎 を覚えていた。
いつか絶対に殺して…――いいえ。
いつか絶対に、地獄に堕 としてやる。
あの世に地獄があるのか否かは、この世に生きている者には確かに知れたことではない。
不確かな神の厳罰などに期待するのは愚かなこと――幸いこの世には、あるいはこの世にも、地獄と呼べるものがある。
あの男は、あの男らは、生きながら堕とされた地獄で死ぬまで喘ぎ苦しむべきである。
しかし――誓いに集積してやまない憎悪がなおその心の誓いを堅固たるものにしてゆくさなかにも…――俺はユンファさんへの切ない愛情から、
「だけれど」と切り出した。
だのに、まずはニコニコと嬉しそうなユンファさんの唇に、またちゅ…と口づけた。そして彼の頭を撫でながらこう、わざと困惑したふりをする。
「これくらいのこと…俺にしてみれば、とてもじゃないが我儘とは…――寧ろユンファさんはもっと我儘を仰言るべきです。…それももっと我儘らしい我儘を、また先ほどのように遠慮がちにではなく、もっともっと我儘を言っている人らしく…――そうだな…、たとえば所謂 、タメ口で。」
……するとユンファさんは「でも…」とやはり遠慮した。
「いいえ、僕…もうこれ以上は、何も……」
続けてそう唇に微笑をたたえたまま言った彼は、しかしどうもそれに関しては遠慮というよりか、今俺と手をつなぎ、頭を撫でてもらいながら、時おり唇や頬やに触れる俺の唇に、これ以上ない幸せを感じているゆえの、これ以上はもう何も望まない、…いや、望まないというよりかそれ以上の望みが思いつかない、という本音に近い言葉を口にしたに過ぎないようであった。
しかし、それならば無理にわがままを言えと強 いるのもなんだと、俺がこう返すと……、
「そうですか…、んふふ…貴方って本当、この俗世には稀 なほど多くを望まない人なのだね…。やはりお綺麗なのはその容貌ばかりか、貴方の魂までも…――わかりました。それでは…一晩中でも、俺はずっとこうしていましょう。…ユンファさんが安心して眠りにつかれるまで…、いいえ、貴方が眠られたその後にも、ずっと…ね……」
「……、…」
ユンファさんは俺のそれには、ふる、と小さく首を横に振った。彼の唇からは微笑も消えている。
「あの…でも…、だ…抱いて…くださらないん、ですか……」
「……、…」
……俺は意地悪でああ言ったのではない。
こう考えていた。――追体験とはいえ、今恐ろしい思いをしたばかりのユンファさんに、「この先」を強いることはできない。
これで続けても、また何かをきっかけにして、ユンファさんがフラッシュバックに苦しまないという保証はない。――そうして二度も彼を苦しめてしまうくらいならば、俺は「しない」という選択を取りたい。
少しずつ慣らしていこう。
何も今夜に留まらず、少しずつ時間をかけて、彼の恐怖に強ばった心からじっくりとほぐしてゆこう。…それからでよいのだ。
それから一つになるのでも、俺は一向構わない。
そうだ。
俺はたしかに「今夜は貴方を抱かない(抱けない)」と、暗に言った。
――しかしユンファさんは、「嫌…」と震えた吐息で言いながら、繋いでいる俺の片手をきゅっと握った。
「抱いてください…、何でも、しますから…――どんな形でも構いません、だから…、だからお願いします、僕……貴方に、…貴方に、どうしても、抱かれたい……」
「…ごめんなさい、ですが…、また先ほどのようにお辛い経験を思い出されては…――俺はもう、貴方をあのようなフラッシュバックをもって苦しめたくはないのです、ですから……」
「っそれなら、」
とユンファさんは焦ったような勢いで俺の言葉を遮ったが、しかし次にはまた自信のなさげな小声でぼそぼそと、こう言う。
「あ、アイマスク…、あの、わ…我儘、…もっと…我儘…――我儘を、言っても…いいですか……」
「……ええ…それは勿論。…どんなことでもどうぞ、何なりとこの俺にお申し付けを…、…ああですが、そう…――是非お気軽に、タメ口で…ね」
と返した俺は、この時点でユンファさんの「わがまま」が何かを察して、なるほどそれを試してみる価値はある、と考えていた。
するとユンファさんはまたしばらく唇を開閉させ、その「わがまま」を言うか言うまいかとためらいにためらったが――ややあって、か細い声でそれを言った。
「…アイマスク…、外しても…いい……?」
俺は「勿論」と即答した。
その「わがまま」は予想通りであった。それから早速ユンファさんのアイマスクをずり上げようとしたが、彼は「あのでも、顔、」とやはり今夜においては俺の顔を見る勇気はないようであったので、俺は「わかりました、それでは少々お待ちを」とそれをも呑 み――このキングサイズよりももう少し大きな豪華なベッドを取り囲む、天蓋 の遮光カーテンを閉ざしきった。
すると壁に並ぶランタンの光によってほの明るかったこのベッド上は、いよいよ漆黒の夜に輝く星々と月明かりばかりの世界となり――プラネタリウムが夜の帳 に投影する星々が――天蓋の天井に埋め込まれた蒼い満月の模型のランプが、ユンファさんを組みしく体勢にもどった俺の白いカッターシャツの背中を、彼のいまだアイマスクに目をふさがれているその青白い顔を、うすぼんやりと照らした。
そこまでしてからやっと俺は、そっと優しく――ユンファさんの目もとを覆うているアイマスクをずり上げ……、
そして――目が合った。
「……、…、…」
俺の二つの瞳がはなつ青白い光を、その紫の瞳の潤んだ表面に点と浮かべている――今に悪夢から目醒めたばかりの愛する美男子、その人のどこか眩 しそうな眼 と。
「…ありがとう、ございます……」
かろうじてそう小声で言ったユンファさんだが、彼は今目もそらせないほど俺の瞳に見入っている。
「とんでもない。愛しい貴方のためならば何だって…――いいえ…寧ろ、はじめからこうすればよかったのかもしれないね…、……」
と俺は両目を細めて彼に微笑みかけた。
……なるほどユンファさんは、先ほどのフラッシュバックの要因をこう推理したのである。
それは、視覚情報が皆無の暗闇の世界に身をおかれた上で、俺からの愛撫を受けていたために、「俺」という情報が乏 しかったせいだったのではないか――今自分のことを組み敷いているのが俺なのかケグリなのか、それがいまいち判然としなかったせいだったのではないか――と。
そしてその上で、フラッシュバックを再発させないためには――すなわち俺に抱かれるためには――、このアイマスクというのが要因のうちの一つと考えられる以上、それを外すべきだ、と彼は考えた。
……なるほど、もちろん精神科医でも何でもない俺や彼が、その要因というのを厳密に断定することはできない。が、あながち彼のその推理が全く外れているということもなかろう。――試してみる価値はある、だがそれ以前に、それならばそれこそはじめからこうしていればよかったとは、俺の本音からの言葉である。
ましてやこうしていれば、ユンファさんのあまりにも美しい顔がすべて見とめられる。
思うと、あんなアイマスクなんてものは、俺たちの「目合い」には邪魔だった。つくづく、はじめからこうしていたほうがよかったのかもしれない――。
しかしユンファさんは申し訳なさそうに眉尻を下げ、そのあまり今にも泣き出しそうな顔をする。
「ごめん…なさい、ごめんなさい…、こんな身勝手な我儘を聞いていただいて、…本当に、申し訳ありません……」
「いいえ、ふふ…とんでもない。どうか謝らないで」
俺はまたやわらかく両目を細めて笑った。
「俺も丁度、貴方の目を塞いでいるアイマスクを邪魔に思っていたのです。――何故と申せ、それがあるとユンファさんの美しいお顔もその半分ばかりしか…、何より、分けても俺のお気に入りの貴方の瞳が見えませんでしたから…――ですから却って、こうして貴方のお顔、その瞳がきちんと見られて嬉しく思います。…それにしても……」
何て綺麗な人だろう!
真っ白ななめらかな肌、美しい凛とした造りの黒い眉、長いまつ毛、涼やかな切れ長の目は疲れたような色気を帯び、ことふっくらとした下まぶたは赤らんで、何よりこのタンザナイトの瞳――この潤沢な紫の貴石のような透きとおった瞳――、そして気高い鼻、俺との長いキスによって赤味の増した豊艶 な唇、すっきりとしたシャープな輪郭、…一つ一つが繊細な美をもち、合わせればなお凄艶 な容貌と、あらためて見ても俺の背が粟立つほど、つくづく、つくづくお美しい。
「何とお美しいのか…、ユンファさんは本当に…つくづく綺麗なお顔立ちをしてらっしゃいますね……」
だが俺の話を聞いているうちに、その美貌に恍惚を帯びさせていったユンファさんは、ふるふる…と俺の目に魅 せられながらも、かすかにその顔を横に振った。
「……、何て…綺麗な、目……」
そしてそうつぶやいた彼だが、真に言いたかったのは「自分は綺麗ではない。むしろ綺麗というなら貴方のこの目だ」ということだった。しかし俺の目に心を惹き付けられすぎている今の彼には、そう言うのさえいささか難しいことであったのである。
もとよりユンファさんは先ほども俺のこの青白く光る目を見たはずであるが、醜男の悪夢から目醒めて直後に発見したこの目には、あらためて恋心をいだくほどの美しさを見出 してくれたらしい。
それは、これこそまさしく「神の目」である…と、それほどの神秘性をさえ戦慄 しながら見とめるほどに――。
震えているユンファさんの両手のひらが俺の両頬に触れ、その震えで俺の頬をくすぐりながらも、その人の親指の腹は俺の下まぶたをする…と撫でる。俺はそれらが少しくすぐったく、思わずきゅっと目を細めた。
ただしいまだなおユンファさんは、不思議そうに俺の目に魅入っている。ために、俺はこう解説してあげる。
「これは〝タペタム〟というのです。…まあ要は、アルファ属は猫やら狼やら獣のように、夜目が利くのですよ。――暗闇の中でもわずかな光を集めて目の奥で反射させ、こうして光を何倍にも強めて目を光らせることで、たとえこれほどの暗闇であろうとも、何もかもがよく見える…というわけです。」
「……そう…なんですか…、凄く綺麗だ……」
そう夢みがちに返したユンファさんは、俺の瞳に見惚れているその澄明な紫の瞳、その表面に張るガラスのような涙の膜 を、みるみると厚くしてゆきながら……、
『きっとエロスもまた、真っ暗闇の中でプシュケーを愛するとき、このような美しい目をしていたんだろうな…』と…――ある神話に思いを馳せている。
それはギリシァ神話のエロスとプシュケーの恋物語である。
エロスという悪戯 な恋の神がいた。エロスは金の矢と鉛 の矢という道具を用い、人にしろ神にしろ、あらゆる者の恋心を気まぐれにあやつる神だ。
彼の金の矢に打たれた者は、たとえどれほど禁欲的な賢者であろうとも、熱狂的な恋情と色情に身を焦がすようになるが――その一方鉛の矢に打たれた者は、たとえどれほどの色狂いであろうとも、恋愛に対して嫌悪感情を抱くようになり、たちまち潔癖で頑固な理性の者となってしまう。
あるときエロスは母・美貌の愛の女神アフロディーテに、『地上にいる小生意気な娘・プシュケーと街一番の醜男とを恋に落とさせ、結婚させろ』と命じられる。――しかし「小生意気な」とはいえ、プシュケーはアフロディーテに何をしたわけでもない。
ただ、世にも美しかった――それだけである。
要するにアフロディーテは、プシュケーの類まれなる美貌に嫉妬したのだ。
……エロスは母の命令通り、プシュケーを醜男と通じ合わせようと夜、彼女の寝室に忍び込んだ。
しかし予想外な出来事が起こる。
なんとエロスは、あまりにも美しいプシュケーの寝顔を一目見たなり、自分こそ恋に落ちてしまった。
そして彼女に見惚れているうち、誤って自分の指先を傷つけてしまったのである。――金の矢の、その尖端 で。
するとエロスは、たちまち美しいプシュケーが欲しくてたまらなくなった。
一目惚れにも加えて、己れの金の矢の魔力のせいで、彼女を我が物にしないではおけない、との愛執 に取り憑 かれてしまったのである。
そこでエロスは後日、企 みをもってプシュケーの両親に、アポロンの神託という体 で、『プシュケーは山奥で暮らす化け物の元に嫁ぐ運命だ』と告げた。
というのも…彼女の両親はちょうど、世にも美しい年ごろの自分たちの娘が、しかしいくつになっても色恋にまるで興味を示さないので、娘の将来――ひいては婚姻について、日ごろひどく思い悩んでいた。ためにその件造詣 の深いアポロンから神託をもらおうと、その神の神殿に訪れたのであった。が…その神殿で彼らに神託を授けたのは、プシュケーを我が物にしようとの企みからアポロンに扮 したエロスである。
しかし両親は神の言うことともなれば、泣く泣く愛娘を山奥へ送り出すほか――化け物に嫁がせるほか――なかった。
もっとも、その山奥で待ち受けていたのは化け物などではなく、神エロスである。
山奥に似つかわしくなくそびえ立っていた豪華な城――プシュケーをあたたかく出迎え、あれやこれやと世話を焼いてくれる優しい召使いたち――化け物との婚姻と聞いていたわり、あまりにも丁重に扱われ、またあまりにも豪華な城に住まうことになったプシュケーは、非常に驚いた。
しかし…――。
彼女が何よりも驚いたのは、夜ごと暗闇の中で自分を優しく愛する夫、であった。
エロスは神ゆえに、人間のプシュケーには自分の姿を見られてはならなかった。――そのために彼は、灯 り一つ灯 さない真っ暗闇の寝室で、夜ごと彼女を大切に愛したのである。
プシュケーは驚いた。
恐ろしい化け物と聞いていた夫は、しかしあまりにも優しく、自分を心から愛してくれる。
……だが寝室に朝が来れば、たしかに昨夜自分の隣に寝ていたはずの夫の姿はなく、ベッドの上には自分しかいない。
それでもプシュケーは、次第に自分の夫を心から愛するようになった。
本当の姿は知らずとも、彼女は夫の魂を愛した。
そうしてエロスとプシュケーは、魂で愛し合うようになった。――たとえ夫が醜い化け物であろうが、はたまた美しい神であろうが、もはやプシュケーにとってはどちらでもよかった。
彼女は夫の美しい魂を愛していたからだ。
……しかし…実はエロスも、世にも美しい青年の姿をしていた――とは、また別のお話。
なるほど、さすが…なかなか優れた比喩である。
俺はユンファさんのまなじりを濡らす涙に、ちゅ…と口づけた。
そしてそこで…しかしふと不安になりながらこう尋ねた。
「…ユンファさんは…、たとえば、俺の本当の姿が醜く獰猛 な化け物であろうとも…――それでも俺のことを、愛してくださいますか……?」
「もちろんです…、ふふ……」
するとユンファさんはすぐにそう、当たり前だ、と何の疑念もないあたたかな声で答えた。
「本当に…? 俺が貴方を傷付けて喜ぶような、最低な獣に成り下がろうとも……?」
「ええ…」
やはり何の疑念もない。
俺はユンファさんの顔を見下ろした。
彼は優しげに、無垢に、あまりにも美しく微笑している。
「どうして…、どうしてそう…そう言えるのです…」
するとユンファさんは、俺の目をじっと見つめ――その澄んだ紫の瞳で、およそ俺の瞳孔の奥をまでじっと見つめながら――ふとその切れ長の目を細めた。
「――貴方の目が、僕の知り得るこの世のどんなものよりも、とても綺麗だからです。」
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