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174 ※微
「……は…――。」
うなだれたユンファさんの豊艶 な半開きの紅い唇から、うら悲しい吐息がまたこぼれた――。
……俺はユンファさんから「声を聞かせてくれる」という承諾を得たろう。
となればもう「再開」していいわけである。いや、むしろこれで再開せずして、どうして彼のつややかな声が聴けようか? ――再開する他にはない。
しかし、単に愛撫をするだけでは、いささか面白みに欠ける。
――そこで俺はあのあとすぐ彼の耳にこう、ささやき声でのお伺いを立てた。
「ところでユンファさんは…――ちょっとばかり意地悪をされるのはどうでしょう…、そういった…少しドキドキしてしまうようなお遊びは、お好き……?」
「……え…、意地悪、ですか……?」
するとそう言うユンファさんは、自分の肩の上に顔を出した俺をつぅとあでやかな流し目で見、…そして俺の青白く発光する目と目があったなり、じわりとその紫の瞳を火照らせてから、はにかみにさっとその長い黒いまつ毛を伏せた。
……なお彼は、実はこの時点ですでにドキドキと期待に胸を高鳴らせつつも、そのまつ毛の下の黒紫の瞳をうち震わせ、こんなことを考えていた。――『彼になら…もちろん何をされても、僕はきっと……、ただ、意地悪って何だろう…、喉の奥の奥まで……首を絞められたり…、乳首を思いきり抓 られる…、あるいは叩かれて…、顔を踏み付けられたり……』――まさか……。
いや、そもそも俺が回りくどい言い方をしたのが悪かったのだ。
それも無理からぬ発想だ。性奴隷として淫虐 的な行為を日々強いられている彼にとっての「意地悪」とは、すなわちそれらの凄 まじい行為なのである。
しかし、俺は今まさかユンファさんにそのような、もはや意地悪というより暴行的なハードプレイを提案したかったわけではない。――もっとも彼が本心からそのようなプレイを望むのであれば、またかつ、その人の心身がそれらに真なる快楽を見出 せるのであれば、いずれそのご所望に応じるとても、決してやぶさかではないことだが(俺の趣味にも合っているからね)。
さて…とはいっても今、俺が今宵のちょっとしたスパイスとして用いたい「意地悪」とは、間違っても今ユンファさんが考えていたような、ハードな行為の数々ではない。――したがって俺はこう言って、それとない訂正を入れた。
「そう、意地悪です…、少々意地悪ですが…――ユンファさんのこと、焦らしてしまってもいいですか……?」
そしてそう、俺が改めて具体的な内容をあきらかにした上で許諾をもとめると――彼はその長いまつ毛を伏せたまま、その幸福そうな、しかし過ぎるほどの幸福に切なげな表情をうかべた美貌を、じわじわとうす赤くしていった。
「…はい…」
そして彼はしおらしくコクンとうなずきながら、その下へ向けた黒紫の瞳で『彼、意地悪までどこか優しくて…甘いんだ…』と、うっとりとしたのだった。
……が…――。
ユンファさんは俺の提案した「焦らしプレイ」に許諾を下したことを、どうやら今は少しばかり後悔している。
というのも、俺はまず――変わらずベッドの上に開いた両膝を立てて座り、そして、その脚のあいだに座るユンファさんの――その紅いシルクの張りついた男性的な平坦なふくらみをもつ胸板を、両手の指先すべてをつかって、かすめるように円 くゆっくりと撫ではじめた。
ただし、あえてとりわけ敏感な乳首はもとより、乳輪にさえ触れないように――なお紅い布の下ともあれば、その位置こそ推測の域を出ないが、しかしその薄いシルクに凸 むリングピアスと、それの通ったぷっくりと一センチ弱ほどの小粒 となった乳頭という目安があれば、思うほど不確かでもなく――むしろ時おり、その乳輪のふちをするり…己れの指先に擦過 させながら。
するとその擦過の度、ユンファさんの下腹部はビクッと跳ねながらへこんだ。
そして、彼はそうした俺のまだるっこしい愛撫を受けては、もの憂 げな伏し目にじわりと官能の涙をにじませ、しばしば「はぁ…」と上ずったため息をこぼし――またその細い腰から両脚をもどかしげにくねらせ、もじもじと膝同士をすり合わせながらも、――しかし事前に「焦らしプレイ」と知らされている以上、このときはただそのぞくぞくとくるもどかしい快感に、そしてそれを与える俺に、その繊細な細い体を委ねきっていた。
実際、次第にユンファさんの体からは力が抜けてゆき、彼は我知らず後ろの俺にその背でもたれかかってきたくらいだ。――そして俺は、彼にその身をあずけられた幸甚 もさることながら、…何という…この切なげなうす赤い顔をしている、美しい伏し目の初恋の美男子…――眼福 である。と…つくづく、密かによろこびを噛み締めていたのだが。
さて、…次の段に移ると、俺はするり……ユンファさんの両胸を下から、手のひらで包み込んだ。
そしてそのままする…すると持ち上げるようにさすり、あるいは彼の胸筋をあまり力をこめずにもんだ。――ただしそのときには、こうしたことを心がけた。
親指と人差し指の股 を、彼のその乳頭のきわギリギリまで迫らせ…しかし、決して触れない。
……また俺はそのときそうした、ある種細心の注意をはらった焦らすための愛撫をしながら、彼の耳に寄せた唇でこう甘くささやいた。
「綺麗だよ、ユンファさん…」
「……っ♡」
するとユンファさんは、ぴくんっと跳ねた肩を少しすくめ、もじ…とまた膝をすり合わせる。
そして「は…」とあえかな吐息とともに、彼はなまめかしくその黒い秀眉 をひそめると、こてん、と脱力したように、その顔を、その薄く開かれたままのふくよかな紅い唇を、今向いていたほうとは反対の肩口へ向けた。
……そう、図 らずも俺の顔のほうに――なんて美しい顔だろう、なんて色っぽい苦悶の表情だろうか、――興奮した俺はすかさず彼の唇を唇ではむ、と捉 え、…そのままはむ…はむと食み、また舌をなめ合い…――ちろ…ちろ…と弱ったような彼の甘い舌先が俺の舌先を舐める、ぽってりと潤んだ彼の唇が甘えるように俺の舌先にちゅう…と吸い付いてくる、…俺はその唇と舌とをねっとりと絡めとったのだ、この唇と舌とで、――憧れの美男子の胸をもみながら!
もはや勃起も痛いほどである。
いや……またわけても可愛らしかったのは、そうしているうちに自然、ユンファさんの胸がもどかしそうに突き出され――すると必然的に彼の腰の裏は反れ――、さらには彼の鼓動がどんどんと速く荒立たしくなり、かつ、その紅い肉厚な唇からもれ聞こえる呼気も「は…、は…」と、喘ぐようになっていったことだった。
……本当、勃起も痛いほど……いや、…
……それから次に俺は、シルクの上からユンファさんの乳輪を両方、くるり…くるりと極めてゆっくり、指先でなぞりはじめ…――すると彼は「ぅぅ……」といささか苦しそうに、しかし色っぽくうめくと、そのツンと粒だった乳首を突き出して『もうお願い、ここを触って』とでもねだるように、もう少し胸を張った。
それも俺はそのとき、ふとあるものを見つけてニヤリとした。
というのも……俺は深くうつむいているユンファさんの頬に頬をつけて、彼の胸もとを見下ろしていたのだが――ふと何気なく、もう少し先に目を向けた。
すると、そのゆるやかな山なりを形づくる生白い両脚――紅いシルクの布の下で膝の側面同士を着けている、その脚のつけ根あたり、――ピクン、…ピクン…――上品なつやを帯びたやわらかい紅い布を押し上げる、彼のその勃起した陰茎が、不規則に、じれったそうにうなずいているのが、見えたのだ。
「…っふ、…ククク……ッ」
ああ! ――本当なら血が出るまで舐めしゃぶってあげたいのに!
もちろんその血もこの俺が全て……。
……さて…そして今にいたる…――俺は頃合いユンファさんの耳に唇を押しつけ、こう優しくしっとりとした声でささやいた。
「ほらユンファさん、見てください……」
「……ッは、……」
すると彼は見下ろした、そして、だからぴくんっとその下腹部を期待に跳ねさせた――待望の、あとほんのわずか数ミリの、――俺の人差し指の先が、ツンと紅いシルクを押しあげるその両方の乳頭の先すれすれ――触れるか触れぬかのところで、あたかも彼のそこを撫でるかのように小さく動いている、その様を。
「……、…、…」
ユンファさんは渇望の眼差しで、自分の胸もとのその光景に目を奪われている。――彼はもう目を離せない。なぜならあともう少し、あともう少しだからだ、…そう、あるいは今自分がもう少し胸を突き出せば…――しかし、彼にはそんな小狡 い真似はできなかった。
「……っ、…〜〜〜っ」
ユンファさんは今にも泣き出しそうに顔をしかめ、ただもぞもぞと腰を揺らしながら、きゅう…俺の立てた緑のスラックスをまとう両膝の上、その太ももにやわらかく添えた両手の指先に、耐え忍ぶための力を入れたばかりである。
「…んふ、触ってほしい……?」俺はまた彼の乳輪をゆっくりとなぞりながら、そうその熱い桃の香の熱気をまとう耳に唇を寄せて、ささやいた。
「……、…、…」
するとユンファさんはまず、真っ赤に染まったその泣き出しそうな悲しげな顔を、コクコクコクと浅く何度もうなずかせ――とっさには言葉が出てこなかったのだ、それほど今の彼には余裕がない――それからきゅっと辛そうに目をつむると、斜め下へ顎を運んだのち、「触って、」と、泣いているような切なく震えた小声で答える。
「触って、ください、…」
「…んーー……?」
しかし俺はもう少しいじわるをして、人差し指でつう…と、彼の胸板の中央をそっと撫でるようにしてつつきながら、「ど…」――それからもう一歩、彼の乳首に近寄ったところをつついて「こ……」――最後に、乳首をまたいだその下を、ちょん……、
「を……?」
「…〜〜ッ♡♡」
ビクビク、俺のいじわるに快楽を得た彼の下腹部が痙攣したのを見、興奮した俺は次いでにわかに強引に、またユンファさんの胸筋を下から両方、しかし今度は強めに揉みしだく。しかしもちろん乳首は避けながら。
「ふァ、♡」するとユンファさんはビクンッと腰から上を大きく跳ねさせ、「お望みの場所」に触れられてもいないというのに、そうした嬌声をあげた。
「うぅ、♡ ふぅぅ……ッ♡ …〜〜っ♡♡」
とそして、なまめかしくうめくユンファさんの腰が、狂おしくビクッビクッと跳ねてやまない。
……いいや…そうか、…こうして俺がやや強く胸をもみしだくと、ともなって胸もとの布が寄ったり張ったりするので、するとその布にもどかしくもひと際快い乳頭が、多少こすれて刺激されるのだ。……これはいけない。と俺は手を止める。
そしてすぐ、あえて彼の胸板から下へ、おもむろに両手のひらをすべらせ――その硬く平たいお腹をゆっくりと撫でさすりながら、「それで…」とその人の耳に再度尋ねる。
「ユンファさんは…、俺に、どこに触れてほしいのですか……?」
するとユンファさんは、斜め下へ伏せたままの紅い唇を小さく動かし――はぁ…はぁと喘ぎ喘ぎ、羞じらいのささやき声でこう言う。
「ち、乳首……は…、乳首…触ってください…、僕の…」
「いい子だ…」
しかし俺は「僕の…」の先までは言わせない。
そこから先に続くのは、およそ性奴隷的な自己卑下のセリフに違いないからである。――俺は今宵、ユンファさんにそんなことを言わせたくはないのだ。
「じゃあちゃんと見ていてくださいね…」
そして俺はつづけてそう言い、すると素直にまたドキドキとしながら自分の胸もとを――俺がまたその粒だった乳頭の先に触れるか触れぬかと、焦らすように人差し指の腹を構えている様を――見下ろしたユンファさんに、
「ほら…今にこの俺が、貴方の乳首も一番気持ちよい先っぽに触れてあげますからね……?」とは言うくせ…――まだ触れない。
「……は、……は、…は、…」
するとユンファさんはよだれさえ垂れそうなほど、紅いつややかなその薄く開かれた唇をも閉ざせず、その様にただじっと見入っている。――『早く…早く…早く…』――彼はもう期待する快感のことで頭がいっぱいだ。
「ふっ…ククク……」
俺は美男子の、その予感する快楽に取り憑 かれた惚 けた横顔を見たなり、ぞくぞくと頬から首すじにかけて、妖しい悦びのざわめきが幾度か往 き来するのを感じた。
「ふふ…可愛いユンファ…」俺は満悦の声でその人の耳にささやく。
「可愛い可愛い俺のユンファさん…、貴方って、ほんとうに可愛い…――愛おしくって愛おしくって…おかしくなりそうだ…――堪らない…、あぁいっそのこと、貴方を食べちゃいたい……」
「……は…、……、…」
するとユンファさんの頭の中は『早く…』との焦燥さえもぼやけ、すなわち彼はぽーっとしはじめる。――俺の甘い「可愛い」というのに、彼は恍惚とするほどの幸福を感じているのだ。
「可愛い…、可愛い可愛いユンファさんは、もう俺だけのものだ…。ね、そうでしょう…――そうじゃないなら食べちゃうけれど…、そうですよね、そうでしょう…――貴方はもう、俺だけの…」
「ッあァ、!♡♡♡」
突如としてユンファさんがビクンッ! と弓なりに背を反らせながら、ぐっとその顔を仰向 かせる――俺の肩に後ろ頭をあずけるように。
「もの…。ふっふふふふふふ…――。」
いいや、「突如として」とは白々しいことかな…――彼のそれは、俺が不意に彼の乳頭、その両方をぎゅっと強くつまんだせいである。
……そして俺は仰向いた先で目を見開き、ビクッビクッと体を痙攣させている――絶頂している――ユンファさんを後ろからぎゅうっと抱きすくめ、彼のその真っ赤になった耳にちゅっとキスをしてから、こうねっとりと甘くささやいた。
「おやおや…、これは大変失礼いたしました。んふ、つい…うっかり…――んふ、クククク…――勿論お許しいただけますでしょう…、ねえ、俺の可愛いユンファさん……?」
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