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それで少しでも気を許してしまったからだろう。 惚けたように開いていた口に、舌を入れてきたのだ。 隙を見せてしまったと思った時には遅く、逃げ場のない舌に容赦なく攻め込んできた。 「ふぁ⋯⋯ぁ、は⋯⋯ふ⋯⋯」 息が漏れたような声はリエヴルの欲情を引き立てるものになってしまったようで、さらに激しく掻き回してくる。 見た目は子犬のような愛らしい無垢に見える少年が、息をするのもやっとな深いキスを責め立てるだなんて、想像出来やしないだろう。 ミコ自身、始めのうちはそう思っていた。 自分と同じのどかな場所に生まれ育って、そのようなことをする機会がないと勝手ながらだが親近感を湧いていたのに。 せめての抵抗で攻めてくるリエヴルの舌から逃れようと、引っ込ませようとしたが、その動きを読まれていたのか、舌で押さえつけられ、そのまま絡ませた。 ミコのことはお構いなしにリエヴルのしたいように掻き乱され、そうしているうちに自分の舌じゃないような感覚に陥った。 リエヴルと一つになったような感覚。 その激しい行為によって、下腹部に熱が溜まっていくのを感じた。 じんと切なくなるような感覚。しかし、それはすぐに違う感覚を呼び起こしてしまうことになった。 「い⋯⋯っ!」 顔を歪めた。 途端、唇が離れていった。 「ご、ごめん⋯⋯痛かった?」 「あ、ううん⋯⋯っ。大丈夫⋯⋯それよりも、リエヴルの方は治まった⋯⋯?」 「うん、どうにか」 その言葉通りにいつもの屈託のない笑顔を向けるリエヴルがそこにいた。まだ頬がうっすら赤いのは、全て抜け切ってない証拠なのかもしれないが、しばらくすれば大丈夫だろう。

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