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13.
『⋯⋯それを外せば、もしかしたらオレの足を引っ張らないんだな』
考えるような顔つきでいたフリグスがやがて言った。
『た、多分⋯⋯』
『じゃあ、オレはその悪趣味な魔道具を外す手伝いをしてやる』
『⋯⋯へ?』
彼の口からそんな提案を出すとは思わなかった。
だから思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
それが彼の怒りに触れてしまったようだ。
『なんか文句があるのか』と睨まれてしまった。
『いやいやいやそんなこと、滅相もございません⋯⋯』
『分かればいい』
自分の成績にも響くから必死になるのも分かる。
何か彼の癪に障る言動をしたら、手っ取り早い方法だと言って、魔道具ごとチョン切られて強制的に女の子にされてしまうかもしれない。
後々知ることになったが、彼の家柄が最も関係があるのだろう。
ルーグロリア家は代々優秀な魔法使いを輩出する家柄で、将来的には王宮魔法使いになるのだという。
西の辺境の田舎育ちのミコにはどのぐらいすごいのか、てんでわからないが、とにかく怒りの矛先を向けられないようにしないと。
『反抗したからな』とズボンを下ろしたフリグスの雄を急に口に捻り込まれたのは意味が分からなかったが、利害の一致関係にもなった彼の機嫌を損ねないようにと顔色ばかり窺うことにもなったのも事実だ。
それは今も変わらずである。
「オレがここに来るように言われたということは、今日もダメだったということか」
窓に背中を預けていた彼は冷たい口調で言った。
黄昏時が迫る窓の外からの光を背に受けた彼の姿は、色濃い影となり、ただでさえいつも機嫌悪そうにしているのがより一層そう見え、怖気づいてしまっていた。
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