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「勉強していなくても、えろい話をしていても関係ないじゃん」 「これだから平民は。品性を疑うようなことを平気で言うんだな。そんなことばかりにかまけているから、お前は落ちこぼれなんだよ」 「授業以外で何話していようが、勝手って言っているでしょ。平民平民って言っていると、痛い目に見るよ」 「魔法で痛い目に遭わせようってか? やれるもんならやってみな」 「〜〜っ! やってやるっ!」 まんまと挑発に乗ったリエヴルが懐から杖を取り出し、呪文を唱えようと口を開いた。 「リエヴル、だめだって」と慌ててその口を塞ごうとした。 「──授業以外に魔法を使うのは校則違反だからね、リエヴル君」 凛とした声が聞こえた途端、周りさえも静寂にした。 ちらほら黄色い声のような小さな声が上がっていた。 この声は。 「あ⋯⋯ルイス先生⋯⋯」 いつの間にか隣に来ていたルイス先生にひょいと杖を取られたリエヴルは、呆然とした目で向けると優しげに微笑んだ。 どくん、と胸が高鳴った。 「どうして魔法を使おうと思い至ったか、おおよその予想がつくけれども」 微笑んだ顔のまま、ベンゲルの方を向いた。 目が合った瞬間、驚いたベンゲルは目だけ明後日の方向を向いた。 「好きなのは仕方ないけど、ちょっとおいたが過ぎるね」 「好き⋯⋯!?冗談は止めてくれって。何回も言ってますが、ペアだからちゃんとしてくれないと、オレも出来が悪いと烙印を押されるから忠告をしただけですって」 「嘘つき! そんなこと一言も言ってない! 明らかにバカにした言い方をしてたじゃん! 平民平民って、そんなにお貴族様って偉いの?」 「そりゃあ偉いに決まってる。そもそも魔法が使えることが──」 「──喧々たること勿れ」

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