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静寂を包み込むような優しい声で唱え、リエヴルの杖を振った。 すると、言い争っていた二人が途端に静かになった。 何故だろうと思って様子を伺っていると、ベンゲルは固く閉ざした口を無理やりこじ開けようとしたり、リエヴルは何かを訴えるかのように自身の口を指差していた。 この様子は魔法でお口チャックされたらしい。 さすが先生、呪文で大人しくさせた。 そのスマートな対応に、周りから称賛と羨望の眼差しを浴びていた。 「少なくともHRの間、静かにできたら解放してあげる」 杖をシャープな顎に当て、にっこりと笑う。 「それと、この杖は没収」と言い添えて。 その少し首を傾げてみせる先生に、ほんのりと赤く染まる。 素敵な笑顔⋯⋯。 周りの同級生もそう思っているようで、「素敵⋯⋯」「抱かれたい」「オレもお口チャックされたい⋯⋯」と小さい声で口々に言っていた。 「さて、HRを始めるよ。皆、席に着いて」 優雅な足取りで席の間を縫いながら掛ける言葉にすぐに静かになった生徒達は、それに従ってさっさと席に着いた。 強制的に黙らされた二人は数秒の間睨み合っていたものの、仕方ないといった様子で渋々と座った。 ミコはそこでようやく安堵の息を吐いた。 先生が来てくれて良かった。 先生はああいう時、タイミング良く来てくれて強制仲裁してくれる。 場違いな人間がこんな学校に来て、不安が大きかったが、先生を見ていると不思議と和らいでいく。 暖かな日差しのように柔らかく、透き通るような声はうっとりとさせ、照らされた金髪は朝日よりも眩しく、きらきらと輝き、その姿がルイス先生を崇められるべき存在だと思わせる。

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