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27.
「全く、お高く留まっているお貴族様のせいで、ボクまで怒られちゃった!」
「はは⋯⋯そうだね⋯⋯」
HRが終わるや否や、ミコの席にやってきたリエヴルが開口一番に文句をぶつけてきた。
そのお貴族様の売り言葉に買って出たのがいけなかったのではと、喉まで出かかった言葉を無理やり呑み込んだ。
「しかも、杖は放課後まで没収って言われたし⋯⋯」
HRが終わった後、約束を守った──守らざるを得ないと言うべきか──ということで、ベンゲルと共に口は解放されたものの、杖までは返されなかったようだ。
没収というのはそういう意味だったのか。当然といえば当然の罰ではあるけれども。
「どれもこれもおバカベンゲルのせい! もうっ、どうしてくれるんだし!」
「でも、杖がなかったら今日一日どうするの?」
「ミコ、貸してくれる?」
小首を傾げては上目遣いで見てくる。
とはいえ、リエヴルが立っている状態なので、見下ろしている形だが。
「ぼくのでもあまり意味がないと思うけど⋯⋯」
「だよねぇ、うーん、どうしようかな⋯⋯」
腕を組んでうんうんと唸っていた。
友人として杖ぐらいは貸してあげたいが、あいにく懐に入れている一本しかない。
一本しかないわけだから、没収する意味があるともいえる。じゃなければ、リエヴルはここまで困らない。
「その辺の木の棒でも代わりにしようかな」
「いつもよりもへなちょこな魔法になりそうだね」
「じゃあ、この際いっそのことディルドにしよう! 絶対にボクにぴったり!」
「リエヴルがいいなら、いいんじゃないんかな⋯⋯」
「けど、ディルドなら振るよりも上と下の口に入れる方が好きかな〜」
きゃっと顎に手を添えて、まるで恋バナするように話す下世話な友人に、「⋯⋯そうだねー⋯⋯」と適当に相槌を打った。
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