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「全く、お高く留まっているお貴族様のせいで、ボクまで怒られちゃった!」 「はは⋯⋯そうだね⋯⋯」 HRが終わるや否や、ミコの席にやってきたリエヴルが開口一番に文句をぶつけてきた。 そのお貴族様の売り言葉に買って出たのがいけなかったのではと、喉まで出かかった言葉を無理やり呑み込んだ。 「しかも、杖は放課後まで没収って言われたし⋯⋯」 HRが終わった後、約束を守った──守らざるを得ないと言うべきか──ということで、ベンゲルと共に口は解放されたものの、杖までは返されなかったようだ。 没収というのはそういう意味だったのか。当然といえば当然の罰ではあるけれども。 「どれもこれもおバカベンゲルのせい! もうっ、どうしてくれるんだし!」 「でも、杖がなかったら今日一日どうするの?」 「ミコ、貸してくれる?」 小首を傾げては上目遣いで見てくる。 とはいえ、リエヴルが立っている状態なので、見下ろしている形だが。 「ぼくのでもあまり意味がないと思うけど⋯⋯」 「だよねぇ、うーん、どうしようかな⋯⋯」 腕を組んでうんうんと唸っていた。 友人として杖ぐらいは貸してあげたいが、あいにく懐に入れている一本しかない。 一本しかないわけだから、没収する意味があるともいえる。じゃなければ、リエヴルはここまで困らない。 「その辺の木の棒でも代わりにしようかな」 「いつもよりもへなちょこな魔法になりそうだね」 「じゃあ、この際いっそのことディルドにしよう! 絶対にボクにぴったり!」 「リエヴルがいいなら、いいんじゃないんかな⋯⋯」 「けど、ディルドなら振るよりも上と下の口に入れる方が好きかな〜」 きゃっと顎に手を添えて、まるで恋バナするように話す下世話な友人に、「⋯⋯そうだねー⋯⋯」と適当に相槌を打った。

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