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31.
ミコの反対側に座っていたフリグスが鋭い目で三人を一瞥した。
一瞬にして身を竦ませ、持っていた杖が目に止まった時、先程のルイス先生のことを思い出し、ミコ達はその視線から逸らすように慌ててノートに板書を写していった。
怖いもの見たさなのか、少しした後、改めてミコはゆっくりとフリグスの方を見た。
先程ではないが、それでも肩をびっくりさせるには充分な冷ややかな目で「何か用か?」と言われた。
ミコはぶんぶんと首を横に振って、他の二人のようにノートに食らいついたのであった。
学校の隣にある植物園は、一定の温度で保たれた室内庭園で、暖かい時にしか採れない植物や希少な生物を観賞したりすることができる。
出入口前で先生が「順番に班行動してくださいね」と言っている中、ミコは服を掴んでいた。
ここはあの森とは違うから、怖くない。
"森"と思った途端に思い出されるのは、訳も分からぬまま、身ぐるみを剥がされ、男の象徴を制限させられたあの出来事。
また襲いにくるのではと恐怖で身を竦ませてしまうが、大丈夫、あそこの森じゃないと自身に言い聞かせ、重たい一歩を踏み出した。
そんなミコの手を半ば無理やりに取ってきた。
「さっさと採りに行こう!」
楽しげな笑みを向けたリエヴルに引っ張られるように、庭園へと誘われた。
「勝手に行くんじゃねぇ!」
「貴族様同士で仲良く散策したら?」
「ちょ、リエヴル⋯⋯!」
「班行動ですよー!」と先生が声を上げているような気がしながら、あっかんべーをして挑発するリエヴルに注意しようとした。
「ミコはあんな奴にバカにされて、悔しくないの?」
「それは悔しいけど⋯⋯でも、今は授業だから、一緒に行動しないと。それも採点されるんじゃなかったっけ?」
「うぅ⋯⋯そうだけど⋯⋯。今ここで引き返すのも癪だなぁ⋯⋯」
「何もくっついて行動しろとは言ってないだろ」
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