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32.
立ち止まって言い合っていると、不意に入ってきた。
追いついてきたのだろうと後々になって分かるが、急に会話に参加してくるものだから、リエヴルと揃って叫んでいた。
「⋯⋯っ、うるさいぞ。お前達はマンドラゴラか」
「だって、会話に入ってくるとは思わなかったから⋯⋯」
「いつの間に⋯⋯」
「いつの間にかもない。そもそも離れたら、かえって厄介なことになるだろう。お前達は目を離すと何をしでかすか」
「貴族様の手を煩わせるわけ──っ!」
目の前からリエヴルが消えた。
何がどうしてそうなったのか。
目の前に起きた出来事を、すぐに処理しきれてない頭でいたミコの耳に、「⋯⋯面倒事を」と舌打ちしたのが聞こえた。
フリグスの方を見ると、上を睨めつけていた。
その視線の先を見やると、リエヴルがいた。
正確には、大きな蔓がリエヴルの身体に巻き付き、吊り下げられていたのだ。
なんで、そんなことに。
「なに、急にっ、ねぇ!」
「リエヴルっ!」
「何やってんだ、あいつは。いつもの自分で唱えた魔法で失敗したのか? いや、唱えていたか?」
「違う。あれは、食溶植物のスティヴェーレ。生き物を溶かしながら、栄養を取り込む」
「溶かすって⋯⋯じゃあ、リエヴルは⋯⋯」
「最悪、骨になるだろうな」
懐から杖を取り出したフリグスが面倒そうに返した。
サーッと血の気が引いていくのを感じた。
傷薬の材料にあったカエルのような見た目をした生物の特性である、服だけが溶けるならまだ良かったものの、それよりも酷い有り様になってしまうだなんて。
そんなの、絶対に嫌だ。何とかしないと。
服が溶け始め、恥じらう声を上げる友人を見上げた。
助けないと。
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