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36.
「⋯⋯全く、余計な手間を増やすな」
恐る恐ると目を開いたミコの頭上から、静かに怒る声が降りかかった。
ビクッと肩を震わせ、恐怖を滲ませながら顔を上げようとした時、急に目の前が真っ暗になった。
「何?! 何が起きたの!?」
慌てふためいていると、視界が開けた。
真っ暗になってから間もない出来事であったが、不意の明るさに思わず目を細めた。
それも束の間、ミコの視線の先にフリグスの後ろ姿が目に映った。
しかし、見慣れた姿に違和感があったのだ。
それが長いマントを身に付けていなかったことだと気づいた。
その行方はどこにあるのかと思ったのも少しの間のことで、触れていたのがそれだと気づいた。
何故、ミコにマントを渡す行為なんてしたのか。
首を傾げていたミコであったが、その答えは自身の姿を見た時、氷解した。
触手に服を溶かされて、みっともない格好をしていたからと掛けられたということか。
補習の時は、大概フリグスが服を乱して、ミコに魔力補給をするだけしてそのままにされることが当たり前であるため、今回のように配慮をしてくれるだなんて思わなく、呆然とした。
彼にそんな気遣いができるだなんて! とさえ思ってしまうぐらいに。
「ミコー! 大丈夫ー!?」
肌触りの良いマントを遠慮がちに触れていた時、声が聞こえた。
顔を上げると、こちらに駆け寄ってくるリエヴルの姿があった。
肌が溶かされていなさそうで安堵した刹那、同じように溶かされた下腹部を見やると、なんとびっくりするぐらいに勃っており、元気に上下に振っていた。
お風呂に一緒に入っていて見慣れているかと思った友人の自身の立派な姿に、ある意味目が離せなかった。
「ぼくは大丈夫だけど、リエヴルの方は色々と大丈夫? 恥ずかしくない?」
「大丈夫! むしろ、まだ物足りないから、乱暴に暴いて欲しい⋯⋯」
「その前にその卑猥な口を塞いでやろうか」
突然、ドスの利いた声が割って入った。
途端、リエヴルが不機嫌な顔をその声の主に向けた。
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