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37.
「お前の方こそ、その余計な口を塞ごうか〜!?」
「やれるもんならやってみろ」
杖を没収されているリエヴルが力技で食ってかかるのを、ベンゲルはひらりとかわし、杖を振って挑発していた。
「二人とも止めなよ」と声を掛けようとした時だった。
ムズムズとした感覚がじわじわと感じた。
そのじわじわと迫り来るものがやがて、いてもたってもいられないぐらいの痒みへと変貌した。
それが股間から来るものだと気づいた時、先程の痒みが再発したのだと分かった。
さっきで終わったわけじゃないの!
今は拘束されてない。
そう思うが否や、指の腹を押し付けるように先端部を重点的に触った。
ところが、掻いても掻いても解消されないばかりか、痒みが増していき、熱を持ったかのようにヒリヒリと痛み出してくる。
逆効果だと頭の中では分かっていても、どうしようもなく掻きたくなる衝動を抑えられなかった。
「──その格好で授業に出てみろ。お前達が好きな皆に注目されるぞ」
「お望み通りにしてやるっ!」
後ろ手で振っては去るベンゲルに、まるで一昨日来やがれと言っているように捨て台詞を吐いていたリエヴルは、「もうっ!」と頬を膨らませていた。
「ミコー! アイツ酷いんだよー。ボクが杖を没収されたことをいいことに魔法でボクのことをイタズラ──ミコ、何しているの?」
「さっきの、かゆみが⋯⋯」
「痒み?」
「リエヴルは、さっきの植物に何か入れられなかったの⋯⋯?」
「口みたいに咥えられたけど、他は別にないかな」
「あの時の感覚をもっと味わいたかった⋯⋯!」と悔しがるリエヴルを、「はい、そうですか」と軽く流す余裕がミコにはなかった。
どうしたら、この痒みは鎮まるの。
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