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一晩干しておいたものの、きちんと乾いている様子ではなかったため、次の日が天気が良さげだったのもあり、そのまま干しておいた。 帰りのHRが終わりを告げたのと同時に、誰よりも早く教室を出た。 リエヴルが何かを言ってきたような気がするが、耳を貸す暇もなく、足早と寮の庭へと赴いた。 午後からは風が吹いていて、その頬を撫でるような心地良さに目を細めつつ、軽く揺れるマントに手を触れた。 うん、湿っている様子はない。乾ききっている。 いい仕上がりに満足気な笑顔を浮かべたミコは、早くフリグスに渡そうといそいそと取り込んだ。 ぽとっと、軽い物が落ちる音が間近に聞こえた。 雨が急に降ってきたのだろうかと、頭上を見上げた。 「あっ!」と自分でもびっくりするぐらいの大きな声を上げた。 それもそのはず。黒いマントに白いものが付着していたからだ。しかも、広範囲に。 これは、鳥のフンだろう。 「なんで、こんなタイミングで⋯⋯」 すっかり乾いて、今すぐにでも渡しに行ける状態であったのに、ちょっとした出来事で全て台無しにされた。 気が遠くなるような、目眩がするようなそんな感覚に陥る。 「ミコー? そこで固まって何してるの?」 ミコの後を追いかけてきたらしい。リエヴルがやってきた。 「リエヴル⋯⋯これは夢だよね⋯⋯」 「え、何、急にどうしたの。そんな半ベソで⋯⋯」 さすがにミコがそんな様子でいたものだから、ただ事ではないと思い、焦りを見せるリエヴルに「これ⋯⋯」と汚れた箇所を見せた。 「これ、何? もしかして、鳥のフン?」 「うん、そう」 「あぁ、なるほど、ね⋯⋯」 ミコが泣きそうな顔をしていること、そのマントの状態で全てを察したリエヴルは、「言いにくいことだけど」と前置きをした。 「夢だと思いたいのは充分に分かるけど、現実だと思わざるを得ない、というか⋯⋯」 「⋯⋯⋯⋯」

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