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55.
下がり気味だった腕を伸ばし、目を開けたミコは杖の先を真っ直ぐに的を見据える。
そして、息を深く吸って、吐いた後、口を開いた。
ぼくがこの実力を一番に見せつけたい相手。
「小さく揺らめく灯火 よ、火先 となり、飛び散れ!」
どこからともなく火が現れ、それが杖の先に磁石のように集まり、丸い火の球が形成される。
ミコのペアほどではないけれど、今の実力を見て欲しい。
火球が真っ直ぐに的の方へと飛んでいく。
届いて。届け。
放った火球は、最初こそ一度目と同じく勢いよく放たれたものの、的に近づくにつれて、勢いがなくなっていき、下降していく。
また、ダメだ⋯⋯。
「最後まで集中しろ」
喝を入れられ、ハッとした。
火球のことだけを考え、じっと見ていると、そのまま地面へと惨めに落ちていきそうだった火球がゆらゆらとしながらも的に当たったようで、焦げ目ができていた。
的に、届いた。
「⋯⋯的には当たったから、及第点とする」
先生がそう告げるのを半ば聞いた。
「当たった⋯⋯。当たったんだよね?」
「一応、当たりはした」
「ぼく、合格したってことだよね?」
「百歩譲っての出来ではあるがな」
「良かった⋯⋯」
「ミコー! おめでとうー!」
「わっ」
集中力が途切れたせいか、気が抜けたミコはその場に座り込みそうなところをリエヴルに勢いよく抱きつかれた。
「リエヴル、まだいてくれたの」
「もちろん。だって、ボクら友達じゃないか」
「そう言いながら、どさくさに紛れてぼくの股間を触らないで欲しいんだけど」
「合格できたボクに、ミコの可愛いおちんぽちょうだいよ」
「それ以外だったら、出来る限りのことを叶えてあげる」
「けちー」
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