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「もう、いい⋯⋯?」 「気が早いな。そんなにも性交がしたいのか」 「そうじゃないけど、ここまで弄る必要がないかな、と⋯⋯」 「本来であれば、興奮を高める雰囲気作りもあるが、お前の場合はかえって減退させるものだったな。たまには、オレの手を煩わせずにやって欲しいものだがな」 くどい言い方であったが、言いたいことは最後の一言に集約されていた。 後ろを振り返らずとも分かる。前戯すらまともにできないことに対して怒らせてしまっている。 だが、ミコの場合はその興奮が高まる前に戒められた箇所が痛んでくるのだ。 フリグスには事情を言ったから、そのことは知っているはずだが、彼が言っていたように手を煩わせずとも自分で工夫してやれということなのだろう。 先ほどの補習の際にも言われたが、平均よりも低い頭を持つミコには、いくら考えても思いつかないだろう。 やはり、フリグスに頼むしかない。 「一個、お願いがあるんですけど⋯⋯」 「なんだ、いきなりかしこまって」 晒した臀部のままソファに座るわけにもいかないと思ったミコは、その場に立ち上がって、フリグスの方に身体を向けた。 何か悪いことをしたわけではないのに、まるで罰が悪そうに恐る恐る彼のことを見たが、いつもの気難しそうな顔をしていた。 それはそれで怖くはあるけれど! しかし、言ったからには後戻りはできない。 「⋯⋯えと、いつもぼくのちん⋯⋯にかけている魔法をかけて欲しくて⋯⋯。こんなことを頼むことですら、すでにフリグスが言う手を煩わせているのは充分わかっているんだけど、でも、それをしてくれたら、後は自分でしますんで! よろしくお願いします!」 これ以上フリグスの顔が見られない。 その意味も含めてミコは深く頭を下げた。 さっきは謝罪の意味で、今は懇願で頭を下げている。 今日は頭を下げるなとどうでもいいことを考えては半ば現実逃避していた。

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