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68.
腰を抱えていたフリグスはそのまま隣へと横たわらせた。
ソファの滑らかな肌触りでさえも、今のミコにとっては心地よく感じてしまい、小さく身を捩った。
完全に力が抜けたミコは、見ているようで見てない目は事が済んだといったように服を整えているフリグスのことを見つめていた。
今までぼくのナカに挿入 っていたフリグスのを綺麗にしないと。でも動けない。
ぼくも服装を整えないと。でも、指一本も動かない。
行為は終わったのだから、さっさと寮に帰らないとリエヴルだって心配しているはず。
でも、こんな状態では自分で帰ることができない。
けれど、これ以上フリグスの迷惑をかけるには⋯⋯。
申し訳なさでいっぱいになり、心を痛めていたミコはしかし、不意の眠気に抗えず、重たくなっていく瞼によってゆっくりと遮断されていく。
瞼を開けようにもそんな力も無くなり、何より億劫さが勝ち、ぴったりと瞼を閉じた。
そんな最中、フリグスがこう呟いた。
「⋯⋯これで、獲物をおびき寄せられる」
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